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2007年09月30日

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6.パニック (ナルト/カカナルBL)

 ナルトは今、目の前の光景を瞬きをする事すら忘れて見入っていた。
「お前、誰なんだ?」
 影分身をした覚えもないのに自分自身が目の前に立っていたのである。
 しかも、現在の姿ではなく、アカデミーに入った頃の忍者にすらなれていない頃の幼い姿で。
「オマエコソ、ダレダッテバヨ!」
 幼いナルトは、ナルトを指差しながら仁王立ちで下から睨みつけている。
 なんで?どうして?自分が影分身をしたのなら、変化を合わせない限り15歳、現在の自分で形作られるはず。
 幼い頃の自分に変化する事は、ナルトにとっては例え火影に”変化しろ”と命令されても嫌だった。
「わかった!カカシ先生が変化して、俺をからかってんだろ?なあ、カカシ先生?もうバレてんだから、元に戻れってばよ」
 笑いながら幼い自分に近づき、肩を強く掴む。
 だが、変化が解けるどころか幼いナルトは、掴まれた手をバシっと叩き、キッと睨みを強めた。
「オレノマネスンジャネーヨ!カ、カ、シセンセイッテダレ?イルカセンセイノトモダチカ?」
「おいっいい加減に正体現せってばよ!キバか?それともシカマルなのか?サクラちゃんやサイじゃねーんだろ?」
 思いつく限りの友人達の名前を挙げつらね、ナルトは幼い自分を見つめる。
 どこをどう見ても、幼い頃の自分だった。
 まだ忍者の証も手に入れていない、忍術もろくに使えず、里で悪戯をしては大人達の注意を引きたくて必死になっていた自分。
 あの頃の感情が心に入り込む。
 幼い自分を見つめていることが苦しい。
「ダレ?ソイツラ?オレニトモダチナンテイネーンダッテバヨ。デモ、ホカゲニナレバミンナオレヲミテクレルハズナンダ!」
 左足を軸足として右足の裏に交差させ、両腕をゴーグルをはめた頭の後ろに回し、ニッと歯を見せて笑う幼いナルト。
 あの頃は、いつもこんな笑いを常に浮かべていた。
 中身のない笑顔。
 寂しさを隠すために作り出した自分の鎧。
「お前、ナルトだろ?」
「ウン。ヨクシッテルナ!オレッテ、ソンナニユウメイジンダッテバヨ」
 笑みをますます深める幼いナルトを前にナルトは涙がこぼれたのを感じた。
「ナニナイテンダヨ、ニイチャン?オトコハ、ツライトキモワラワナキャダメダッテバヨ!・・・オレミタイニサ」
 幼いナルトに駆け寄って思わずぎゅっと抱きしめた。
 ナルトの涙は止まらない。
 どういう事なのかは、全然わからないこの状況。
 でも、目の前にいるのは目の前の自分自身だった。
 変化では、姿形を変える事はできても心の中までは変化できないからだ。
「なあ、お前はなんでここにいるんだ?」
「・・・ワカンナイ。キヅイタラ、ココニイタカラ」
 少し落ち着いてきたナルトは幼い自分を腕の中から解放し、手を差し出しながら笑いかけていた。
「俺と一緒に修行でもするか?終わったらラーメンおごってやるってばよ」
「ホント!スルスル!」
 先ほどのはりついた笑顔ではなく、あの頃には知らなかった自然な笑顔を見せた幼いナルトが、差し伸べられた手を取った瞬間。

「うわああああっ!」
 周囲が強い光を放ち、目を瞬間的に瞑って、次に瞳を開いた先には、昨夜から一緒に過ごしていた上司でもあり、恋人のカカシが心配そうに覗きこんでいた。
「大丈夫か、ナルト?」
「カ・・・カシ先生?ナ・・・ナルトは?」
 さっきまで感じていた温かい手の平の感触を思い出し、自分が差し出した手に視線を向けた。
 心配そうな表情を見せるカカシの手をしっかりと握りしめている自分の手。
「ナルト・・・大丈夫か?」
 もう一度、ゆっくりと言葉を出したカカシは涙で潤んだナルトの瞳を覗きこみ、軽く唇を触れさせた。
 カカシの口内に涙の塩辛い味が滲む。
「夢・・・見てた?俺・・・なんで?」
 目の前にいるカカシに焦点を合わせる事もできず、ナルトはただ宙に視線を右往左往させるばかりだ。
「そうだ、俺は?あの頃の俺はどこだってばよ?一緒に修行して、ラーメン食べるって約束を・・・」
「ナルト!」
 覗きこむカカシを押しのけて、ベッドから出ようとするナルトの両肩を強く掴み、大きな声で呼びかけた。
 声に反応したナルトがビクリと体を震わせ、ようやく焦点が目の前に確かに存在する自分に合わせられると、カカシはほっと息をつく。
「一体、どうしたっていうんだ、ナルト?急にうなされたと思ったら、眠りながら泣いたりして・・・怖い夢でも見たのか?」
「・・・ううん。ただ、俺に会ってきただけ」
「ナルトに?」
 予想もしていなかった答えにカカシは驚いた表情を浮かべる。
「しかも、ちっちゃい頃の俺でさ。まだアカデミーに入る前の俺でさ。まだ誰にも見てもらえなかった頃の俺で・・・さ」
 俯き、言葉を発する声は小さくなって、潤んでいただけの瞳から涙が一筋、頬を伝っていく。
「そうか。俺は夢でもいいから、アカデミーに入る前のお前に会ってみたいもんだけどなぁ。きっと、ちっちゃくて可愛くて、俺が”好きだ”なんて言ったら、簡単に手に入りそうだし」
 ナルトの両腕を掴み、自分の方へ引き寄せて頬を伝う涙を唇でついばみ、くすぐったがるナルトを放さないまま、さらに唇を寄せた。
「うわっカカシ先生、変態宣言してる!」
「ははっ、お前とこうしているだけでも、五代目には変態呼ばわりされてるけどね」
 2人で笑い合って、ふとカカシの笑いが止まった。
「お前、焦ってるの?」
「・・・そりゃ、そうだってばよ・・・。サスケにせっかく会えたのに、結局連れ帰れなかった。俺がもっと強ければ、火影みたいに強かったら・・・って」
 大人しくされるがままになっているナルトを胸に抱きしめる。
「サスケ、サスケ・・・か。それでお前はサスケに出会う前の、自分に出会ったってわけね」
 抱きしめられながらナルトは温かい体温を感じ、優しい心臓の音を聞きながら、ゆったりとした睡魔に襲われていく。
 胸の中で寝息をたてはじめたナルトの目を覚まさないように、そっとベッドに横たえさせるとカカシは左目に埋め込まれた親友の写輪眼を発動させた。
「今度は、俺と会えるといいね・・・ナルト。おやすみ」
 頬に唇を寄せ、ナルトの横にすべり混み、愛しい恋人の髪を優しく梳きながら、絶え間なく動き続ける左目でまだ幼さを残す寝顔を見続けていた。


end

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9/30
えー、またやってしまいました・・・ナルトでカカナルです。
そんでもって、カカシ黒いなぁ(笑)いや、こーゆうカカシ結構好きで!
ちょっち本文中では、説明足らずな感じしますので、補足説明。
小説で説明って、ちょっと反則的な行為ですが・・・やっちゃいます(笑
ナルトが幼い時から好きなカカシは、ナルトを手に入れるために
写輪眼の力で精神・記憶に影響を与える幻術を使っているという設定。
しかも、自分の部下になってから・・・何回も、何回も、少しずつという具合。
ようするに洗脳しようとしてるわけなんですね、カカシ先生・・・ひでぇよ!
修行から帰ってきたナルトは、会えなかった期間でいい具合に自己暗示に
かかっていて、再会後にやっとナルトを恋人にできた・・・という経緯が有。
これから先もずっと自分だけを見つめて欲しいカカシは、さらに暗示を
深めようと愛の営み中とか眠りにつく直前とか、朦朧としているナルトに
写輪眼使いまくりで、自分もかなりキテる状態で、半分狂ってる感じで。

と、まあ・・・こんな裏設定をふまえて読んでいただけると良いかと思います。
ナルトを知っていてBLが大丈夫で、ナルト受け・・・つうかカカナルが
好きなマイフレさんに少しでも楽しんでいただけたら幸いですv
あー楽しかった・・・こーゆう狂人系の話もたまに書くと良いもんだな。

投稿者 水天宮拓仄 : 2007年09月30日

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