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11.出口のない迷路 (鋼の錬金術師)アルエドBL
今、エドワード・エルリックは宿屋の部屋で古めかしい書物を
何冊も前に頭を抱えていた。
「うー」
時々彼の唇から苦しそうな声も聞こえてくる。
胡坐をかき、エドワードを中心に散らばった書物の数々。
普段は三つ編みにしている後ろ髪も今は簡単にしばっただけの状態。
書物に目を通しながらガリガリと頭を掻く為に髪は乱れ気味だ。
「・・・いさん」
「うーん?」
「兄さん?」
買い物に出かけていたアルフォンス・エルリックが扉から部屋へ入ってきても、まったく気づいたそぶりを見せないエドワードに声をかける。
声をかけてもまだ兄は書物を見つめ、ガリガリと髪をかきむしっている。
「兄さん!」
「わっ!な、なんだアルか・・・今、帰ったのか?」
「もうっノックしたのに返事したのもわかってなかったの?
兄さんに頼まれた物買ってきたよ」
鎧姿だが、きっと今のアルフォンスはため息をついたのだろうと感じとって、エドワードはムスっと頬を膨らませる。
無言で弟から、宿についた直後に頼んでおいた食事と飲み物を受け取り、ガツガツと頬張った。
「どう?何かわかりそう?」
ガサガサと買ってきた物を袋から取り出して、無造作にテーブルやベッドに置きながらアルフォンスがエドワードを見つめる。
実際は、鎧の中身は空洞のアルフォンスに瞳があるわけじゃないが、エドワードは弟の視線を感じて申し訳なさそうな表情をした。
「いや、今のところは何も・・・せっかくこの町一番の錬金術師から、研究書やら、石についての本を借りてきたってのによ」
パンの切れ端をプラプラさせながら、背後にあるベッドに背を預けて床に散らばったままの本を軽く足で蹴って閉じた。
「あ、駄目だよ兄さん!人から借りた本なのに、そんな粗末にしちゃ」
「うっせーなぁ・・・今回は、割と期待してたんだよ・・・何かヒントになると思って、柄でもない手伝いまでしたんだぞ俺は」
「いいじゃないか、あの人すごく喜んでいたよ?お礼に、貴重な研究書まで見せてもらえたんだから」
エドワードとアルフォンスは、元の身体に戻るために賢者の石を求めて国中を旅している。
この町には、石の研究について権威を持つ錬金術師がいると聞いて訪ねてきたのが、三日前。
町に着いてからすぐに錬金術師の家を訪ね、彼が手がけている研究に協力したのが二日間。
そして、三日目が本日。
研究を手伝ったお礼にと今までの研究でわかった事をまとめた研究書や、錬金術師が所有していた石に関しての本に、賢者の石について書かれているであろう古い伝承の書物までも借りてきたのだ。
エドワードが宿に部屋をとってから半日以上かけて目を通した書物に、今まで得た情報以上のものは載っていなかった。
「俺達が元に戻るには、絶対に賢者の石は必要なんだ・・・それなのに、いつまでもこんな調子で本当に見つかるんだろうか?」
「兄さん・・・」
立ち上がって床に散らばった書物を拾い集め、ついた埃を手で払う。
アルフォンスも兄に黙って従った。
すべての書物を拾い集め、テーブルの上に重ねるとエドワードは力を使い果たしたかのようにベッドに倒れこんだ。
「兄さん!だ、大丈夫?具合でも悪いの?」
心配そうな弟の声に、ベッドにうつぶせたままのエドワードは枕に顔を埋めたまま、くぐもった声を発した。
「大丈夫じゃねーよ」
「お医者さん呼んでもらおうか?」
さらに心配そうな声を出す弟にエドワードは思わず涙が出そうになった。
どうして、アルはこんな俺をこんなにも心配してくれるんだ?
自分の方がよほどツライ身を持っているというのに。
必ず弟を元に戻してやると約束した、何を代償に払ったとしても。
この自分自身の残っている生身、いや・・・生命すらかけても惜しくない。
毎日、そのことだけを思って旅を続けて研究を続けて、時には他人の研究にヒントを求めて奔走している。
もう、こうして鎧の弟と一緒に旅をして何年になる?
同じ事を繰り返し繰り返し、いつ自分達の旅は終わるんだ?
アルフォンスを元に戻してやる事・・・自分にそれが本当にできるのか?
「・・・・っ」
涙が枕にどんどん染みこんでいくの感じ、顔も上げられない、声も出せない。
今、自分が泣いている事を知られたらますます心配をかけてしまう。
なにより、弟に弱い自分を見られるのが一番嫌だった。
常に強い兄でいたい。
どんな時も。
「兄さん・・・平気なの?」
その言葉に枕に顔を埋めたまま小さく頷く。
するとベッドにギシリと新たな重みが加わるのがわかった。
アルフォンスがそっとエドワードが横たわっているスペースの横に腰を下ろしたのだ。
「ねえ、兄さん・・・そんなに焦らないで?」
鎧の堅い感触がエドワードの乱れたままの後ろ髪に、優しく触れる。
すっと髪をまとめている紐を解き、長い髪を背中に広げそれをそっと撫でた。
優しい感触にエドワードは流れるままの涙をとめる術が見つからない。
小刻みに震える兄の肩や背中を、壊さないようにゆっくりと優しく撫で続ける。
「僕達は、出口のない迷路に迷い込んだようなものなのかもしれないね」
「・・・出口は必ずある・・・俺が見つけてやる!」
枕から顔を上げ、勢い良くそこで立ち上がると、不安定な足場にも関わらずベッドに腰かけているアルフォンスの冷たい鎧の身体を全身で抱きしめた。
「うん、そうだね兄さん・・・僕達はどんな事があっても一緒だよ」
エドワードに抱きしめられながら、兄の体温を感じられない事にアルフォンスは泣きたくなった。
今の自分が泣けるはずもない。
そして自分の替わりに兄が泣いたのだ。
「ああ、俺達はずっと一緒だ」
アルフォンスは、抱きしめる兄の背中にゆっくりと堅い腕を回し、遠い過去に感じた兄の体温を思い出そうとしていた。
end
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9/10
うい~何か書こう、書こうと思ってやっと書けたのが、コレです(苦笑)
ん~出来としてはイマイチ。やっぱり慣れないジャンルは難しい!
実は、お友達とメッセしながら二人でしゃべりながら出来たネタ(笑)
なので、原案はそのお友達って事になりそうな短編です。
ありがとうSさん!感謝ですvおかげで満足して眠れそうです!!
出来はともかく、何か書けたという事に対して満足してますvv
投稿者 水天宮拓仄 : 2007年09月30日
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