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18.もう一人の私(FF6/エドガー×ティナ)
エドガー、ティナ、ロック、セリスの4人は、競売に参加する為にフィガロ城でコーリンゲンの村付近まで地下を移動してきていた。
コーリンゲンの村から南下した町ジドールで競売が始まるのは翌日の夜からとの情報を得た一向は、しばらくぶりの休息を取る事にしたのだ。
エドガー、ティナ、セリスの3人はフィガロ城に残って体を休めていたが、ロックだけはコーリンゲンの村で待っていると言い残し、1人フィガロ城から立ち去った。
城の正面出入り口で、ロックを見送ったセリスは沈んだ様子で扉を開け、城の中に戻る。
「セリス・・・あの、少しいい?」
つい先日に意識を戻したばかりのティナが、遠慮がちにセリスに近づいてきて声をかけた。
「出歩いて大丈夫なのか?競売の時間までは、余裕があるんだ。今のうちにゆっくり休むようにエドガーも言っていただろう?」
「うん・・・わかってる。でも、あなたと少しお話したくて」
わずかだが顔色が青ざめているティナを見て、ここで立ち話をさせるのも酷だとセリスはティナの手を取り、彼女にあてがわれている部屋へ足を向けた。
「話は部屋で聞こう」
「ありがとう」
笑顔を見せるティナの手を引き、部屋へ移動する為に踵を返した。
部屋に入り、ティナをベッドに横たえさせると脇にある椅子を引き寄せ、そこに腰をかける。
「話って何?」
ロックの後を追ってコーリンゲンの町へ行こうと思っていた矢先にティナから声をかけられ、セリスは落ち着きがない様子を見せていた。
「ナルシェでの事なんだけど・・・」
「・・・ナルシェ?」
ティナは、ケフカの手から凍り漬けの幻獣を守る為に、ナルシェ内を移動中、セリスに問いかけた事をずっと気にしていた。
「あなたは後天的に魔導の力を与えられ、将軍として闘ってきたと・・・」
「そしてお前は生まれつき魔導の力を持つ、幻獣と人間の間に生まれた娘・・・帝国に洗脳されて兵士として闘ってきた」
悲しい過去を振り返る時、ティナは顔を曇らせる。
だが、今話したい事は違う。
「あなたは人を愛することができる?」
ナルシェで問いかけた時は、セリスに拒否された質問を繰り返した。
「その事か・・・」
「あなたは、”ふざけているのか!”と声を荒げたわ・・・ふざけてなんか、いない!」
横たわったまま、ティナは天井を見つめ、強い口調で言い放った。
「私は・・・”愛”を知りたい。幻獣でも、人間でもない私も”愛”を持つ資格があるのか、わからないけれど・・・」
天井を見つめていた瞳を閉じて、それから口を開かなくなったティナにセリスは、できるだけ優しく語りかけた。
「ティナ・・・ナルシェでは悪かった」
その言葉にティナは無言で頭を振る。
「”愛”は自然と手に入る・・・心だと、思う。お前は仲間達の事を大切に思っているだろう?」
布を引き寄せ、頭まで被ったティナはセリスの言葉を黙って聞き続ける。
「その気持ちだって、帝国にいた頃には、無かった心のはず。今にお前の求める”愛”を手に入れる時がくる。・・・・この、私にだって手に入ったのだから」
最後の言葉は自分にだけ聞こえるような声でささやき、セリスは椅子から立ち上がり、ティナを残してすぐ近くにある階段を昇っていく。
セリスが立ち去って、しばらくの間を空けてティナがベッドから身を起こした。
「自然に手に入る・・・心?私は誰かを愛する事ができる?そして、こんな私を愛してくれる人はいるの?」
幻獣の姿を持つ自分。
人間とはかけ離れた姿と力を持つもう1人の自分。
こんな醜い自分を愛してくれるような人は誰もいないのではないか?
不安に胸が押しつぶされそうになる。
大粒の涙がティナの頬を伝い、再びベッドに身を投げ、声を殺して泣き続けた。
ティナがベッドの上で泣き続けている時、セリスが立ち去った階段から彼女とは違う歩調の足音が聞こえてきた。
醜い自分を誰にも見せたくなくて、ティナはベッドの布を頭から被り、ベッドの隅っこへ身を寄せて身じろぎもしないで息を潜める。
階段を降りきった足音は、ゆっくりとした調子でベッドに近づいてくるのが気配でわかる。
「・・・・来ないで」
震える声が、懇願する。
ティナの懇願に足音の人物は、躊躇する事も無くベッドの上に腰をかけたようだ。
ギシリとベッドが軋む音が部屋に響く。
布に包まれているティナに、ベッドに腰かけている人物が誰なのか見当もつかない。
「ティナ」
その声で、ベッドに腰を下ろしている人物が仲間の1人であるエドガーだと知れた。
「ティナ、出ておいで」
「・・・嫌。お願い、今は放っておいてエドガー」
涙声で告げると、さらにベッドの端に寄ろうと動くがそれはエドガーの力強い腕によって止められていた。
「おっと!危ない。あと少し、そっちに行ったら壁にぶつかる所だ。顔でもぶつけたら、せっかくの美人が台無しだぞ?」
軽く笑いながら両腕を使って布ごとティナを自分の脇に引き寄せ、優しく彼女を包み込むように両腕を回した。
「エドガー?」
「ティナ、布・・・取るよ」
ティナを怯えさせないように優しい声で、ゆっくりと布の下を掴むとゆっくりと下に引く。
布がずらせれていくと、涙は止まっていたが瞳を真っ赤に染めたティナの顔が露になった。
エドガーの腕に抱かれたままのティナ。
じっと間近で瞳を見つめられるティナは自分の中に何かがざわめく物を感じとり、身じろぎをした。
「ああ、こんなに瞳を赤くして・・・何かあったのかい?誰かに、何かされたのなら、俺がきつく叱ってあげるから、言ってごらん」
頬に残る涙の後を、指で掬いとるようなエドガーをティナもじっと見つめる。
ティナの視線に気づいたエドガーは安心させるように微笑みかけた。
またそのエドガーの表情に、ティナの中がざわめきはじめる。
「エドガー・・・初めて私に会った時に言ってくれた言葉をもう一度言ってみて」
その言葉にエドガーは、苦笑を浮かべながら口を開いた。
「女性に同じ口説き文句を言う程、俺は落ちぶれていないよ」
「口説き文句・・・?」
どの言葉がエドガーの言う”口説き文句”なのか理解できないティナは首を傾げる。
「でも、どうしてだい?君はあの時、俺の言葉に何も感じなかったのだろう?」
「あの時は・・・わからなかった。でも、今なら・・・少しはわかると思うの」
自分を抱きしめたままのエドガーの瞳をじっと見つめ、自分もエドガーと同じように両腕を彼の身体に回してみた。
「・・・・っと、ティナ・・・あまり大胆な事されると、さすがの俺も紳士ではいられなくなる」
少し驚いたような表情を浮かべてティナから離れようとするが、身体に回された腕に力がこもったのを感じ、エドガーは同じ体勢に戻った。
ティナは、男女の駆け引きどころか、恋愛についても今だ無垢な状態。
男の自分に抱きついていても、その意味を正しく理解できずにいる。
ただ、今は傍に居たい。という感情だけの行動に違いない。
「改めて、君を口説く事にするよ」
片目をパチリと閉じ、普通の女性ならイチコロで落とせるような笑顔を向ける。
「ティナ。俺が君に”愛”を教えてあげる」
「本当?」
「ああ、約束する」
ティナの身体に回した両腕に力を加え、ぐいっと抱き上げてベッドから立ち上がるエドガー。
急にエドガーが動いた為に、バランスを崩しそうになったティナは、思わず彼の首に両腕を回してしがみついた。
「ねえ、エドガー。もう1人の私にも”愛”を教えてくれる?」
抱き上げられ、首に腕を回し、胸にエドガーを抱えたティナは彼の耳元にささやきかけた。
「もちろん。ティナの事が好きだから、どんなティナでも”愛”を教えてあげる」
その言葉がティナには何よりも嬉しくて、再び頬を涙で濡らした。
「ありがとう、エドガー。私もあなたの事、好きよ」
この”好き”が仲間達に対する心と同じなのか、それとも特別な心なのか。
ティナがそれを理解するまでには、もう少し時間がかかるだろう。
特別な心を理解した時、その特別な心が自分へ向けられる事を願い、
「これは約束の印・・・俺とティナだけの、約束」
ティナを床に降ろし、自分の正面に立たせると額に唇を落とすのだった。
end
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9/20
cris内でみずかさんいからのリクエストで書いた小説です。
書き上げました~やっぱりゲームすると書けますね★
今日もやってましたからvでも、今の段階ではまだこの小説で
使った部分まではプレイしてません(汗)まだまだかかりそうです。
でも、このあたりが、ティナも素性がわかった直後なので・・・
彼女自身も周囲も戸惑ったり悩んだりする頃だろうな~なんて思いまして。
リクエストしてくれたみずかさんに捧げます!
投稿者 水天宮拓仄 : 2007年09月30日
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