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2007年09月30日

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後日談より
碧風の優王女 エイリーク & 真銀の聖騎士 ゼト
ルネスに戻ったエイリークとゼトは、エフラムや騎士隊の
面々に祝福され、結婚する。最初は臣下としての分をわき
まえたいと言ったゼトだったが、エフラムの言葉とエイリー
クの強い望みを受け、はれて結ばれる事となった。後にこ
の王女と聖騎士の恋物語はサーガとして語り継がれる。
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『Borderline』 (FE聖魔の光石/ゼト×エイリーク)

 封印されていた魔王・ファデスとの死闘を終えてから数年が経過して、
大陸全土もようやく復興の兆しを見せはじめていた。
 ここ、ルネス王国の城と城下町も以前の賑わいが戻りつつあった。
 多くの人が行き来する城下町では、ひとつの噂でもちきりである。
 ルネス王国・王女エイリークと聖騎士ゼト将軍が恋仲という話は、
あの闘いの直後から囁かれていた。
「王女様と王国騎士の秘めたる恋・・・素敵よね」
「あのお二人なら、エフラム様もお認めになるはずだわ」
 町の中では、若い女性達が周囲を憚る事もなく恋の行方を楽しそうに語らいでいる。
 その様子を、少し離れた建物の影から眺めてはため息をつく人影。
「はぁ・・・いったいどこから、このような噂が」
 ため息をついた人物に隠れるように佇むもう一つの人影が、楽しそうに笑った。
「あら、私が相手では不足ですか?ゼト」
「いえ、そんな!私はあなたの臣下で・・・あのような噂が立つのは複雑な気持ちです」
 建物の影に佇んでいた二つの人影の正体は、長身の男性がルネス王国きっての聖騎士であるゼト将軍、その脇に立つ細身の女性は王女であるエイリークであった。
 今、エイリークはお忍びで城下町の視察兼息抜きに長い髪をまとめて町娘の姿になり、同じく町人の格好をしたゼトと共に行動していた。
「まあ!ゼトは私と噂になるのは迷惑なのね。失礼じゃありません?」
 クスクスと笑いながら背の高いゼトを見上げるエイリークは、まるで子供が悪戯をしたような表情で、ゼトの表情を楽しんでいる。
「迷惑だなんて、とんでもありません!エイリーク様、お願いですからこれ以上困らせないでください」
「私はあなたと噂になれて嬉しいくらいですもの」
 噂をしている町娘達の方に視線を流し、再び視線を戻すとゼトの手を握ると今度は優しく微笑んだ。
 エイリークが触れたゼトの手は少し強張り、しっとりと汗ばんでいる。
「エ、エイリーク様?お手を・・・その・・・よ、よろしいですか?」
「ええ、もちろんです。さ、参りましょう?」
 まるで恋人同士のように手をつなぎ、建物の影から足を踏み出す。
 変装しているとはいえ、二人の容貌は人目を惹きつけた。
 先ほどまで二人の噂話をしていた町娘達も、現れた男女に視線を向け驚いたような表情を見せる。
「ゼト将軍よ!エイリーク様と恋仲ではなかったの?」
 こそこそとさえずる彼女たちの目には、ゼトがエイリーク以外の女性と仲睦ましく歩いているように見えたのだろう。
 彼女たちの声が耳に入ったエイリークはクスリと笑いながら、隣を歩くゼトを見上げて、背伸びをしながら耳元にそっと囁いた。
「誰も、私がエイリークとは気づかないようですね」
「そうですね。私も初めてそのお姿を拝見した時は、驚きました」
 寄り添い、囁きあっている二人は本当の恋人同士のように見える。
 二人の間に自然で、温かな空気を周囲の人々も感じ取れた。
「あなたは誰が見てもゼト将軍ですね」
「申し訳ありません。私もエイリーク様のように変装した方がよろしかったですか?」
「いいえ、あなたはそのままで良いです」
 握り締めた手に少し力を加えて、少し足を速めるエイリークを見つめながらゼトは首を小さく傾げた。
「あの・・・私、何かお気に召さない事を申し上げたでしょうか?」
 先ほどまでの笑顔が消えてしまったエイリークに、戦闘での冷静さが嘘のように焦った口調で恐る恐る問いかけるゼト。
 ゼトの問いに、足を止めるエイリーク。
 いつの間にか町を抜け、もう少しで城の敷地に入る地域まで辿りついていた。
 この周辺は、国の祭事がない限りは一般の市民は滅多に立ち入らない。
 手を繋いだまま足を止めたエイリークに、ますますゼトは困惑する。
「エイリーク様?お加減が悪いのですか?」
「・・・して」
「は?」
「どうして、あなたは・・・いつもそうなのですか?」
 絞り出すような声がゼト耳に飛び込む。
「エイリークさ・・・」
「やめて!城の外でまでなぜ”臣下”である事を頑なに示すの?」
 顔を上げたエイリークの瞳は潤み、太陽の光が反射されて、いっそう美しく見えた。
「ですが・・・私は、あなたの臣下である事に変わりありません」
 見つめてくるエイリークの視線から逃れ、乾いた地面に視線を落とした。
「ええ、ええ!それはわかっています!でも、あの時・・・私に言ってくれた言葉は嘘ではないでしょう?」
 きつくゼトの手を握りしめたまま、その手を自分の頬に押しつけるようにして涙が流れ出した瞳を閉じた。
 ゼトの手に温かな雫が流れ触れる。
「エイリーク様。あの時、あなたに申し上げた言葉は私の本心です。
 ですが・・・その後にルネスの騎士としての誓いも立てました」
「ええ、あなたは私を守ってくださると・・・言ってくれました」
 頬から手を放し、握っていた手もスルリと緩めた。
 エイリークは頬に流れた涙を袖口で拭い、正面に立つゼトを力強い視線で見つめた。
 突然変わったエイリークの視線にゼトは息を呑む。
 自分の目の前にいるエイリークを抱きしめたい衝動に駆られる。
 だが、それは臣下として超えてはならない線。
「でも、私は守られるだけの”弱い王女”ではない。それを、あなたは知っているはずです」
 静かにエイリークの言葉を聴く。
 美しい音楽を聴いているかのような感覚だ。
「あの時、あなたが言ってくれた言葉、とても・・・嬉しかった。
 あなたが望むなら、私は国を出ても良いと思うほど・・・」
 その言葉を聞いた瞬間、ゼトはエイリークの腕を掴み力強く引き寄せると抱きしめていた。
「ゼト・・・!」
「エイリーク様。それ以上、おっしゃらないで下さい」
 長い髪をまとめていたシンプルなバレッタを取り除き、綺麗に風で靡くエイリークの髪を長い指でやさしく梳きながら、耳元に囁きかける。
「私はあなたを愛しています。一人の女性として・・・あなたを」
「・・・ゼト、私もあなたを愛しています。臣下ではなく、一人の男性として」
 細く見えるが、騎士として鍛錬された逞しいゼトの背中に回した両腕に力を込める。
 エイリークの瞳から美しい雫が頬を伝った。

 この後、ゼトは部下の騎士から祝福を述べられ顔を真っ赤にした。
 周囲に誰もいなかったとはいえ、二人が抱き合っていた場所は城の目の前。
 場内の騎士、臣下達は二人の様子を見守っていたという。

 さらに、数日後。
 ゼトは国王であるエフラムに呼び出され、クドクドと冷やかしと説教を受けた後、場内の中庭で二人が槍を手に決闘していたとかいないとか・・・。


 数年後、エイリークとゼトはエフラム王を始め、死闘を共にした仲間や国民達に祝福されてめでたく結ばれた。

 二人の物語は、まだ始まったばかりである。
 


END


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9/5
crisマイフレの千年。さんへ捧ぐ、二次創作短編「FE聖魔の光石」で
エイリーク&ゼトのほんわか話です!どうっすか・・・これで?
少しでも喜んでいただけたら幸いでございます。
初挑戦の二次創作って、どうしても原作の設定そのものを使わないと
書けない傾向があるようです・・・私。修行が足りませんね(汗)
cris内のキリリクで書いた短編です。

投稿者 水天宮拓仄 : 2007年09月30日

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