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Feelings not seen (アイシールド・ヒルまも短編)
泥門高校・アメフト部の部室からいつものように騒々しい声が響く。
練習を終えた部員達を帰らせた後、アメフト部をまとめている2人が居残っていた。
1人はチームのキャプテンを務める蛭魔妖一。
もう1人は、マネージャーと主務もこなしている姉崎まもり。
蛭魔はいつものようにノートパソコンを開き、細かなデータを正確かつスピーディーに入力し、分析していた。
まもりは部室内の清掃を終え、開け放たれていた窓を閉めると汚れから制服を守っていたエプロンを脱ぎ、几帳面におりたたむと自分の荷物にしまいこんだ。
「蛭魔くん、まだ終らないの?戸締りしちゃいたいんだけど」
そう言って振り返ったまもりの目には、ノートパソコンを閉じて椅子から立ち上がった蛭魔が映っていた。
「仕事が遅せーんだよ!この糞マネ!」
そう悪態をつきながら自分の荷物を肩にかけ、まもりの横を通り過ぎる蛭魔にいつものようにまもりは言い返した。
「そんな名前じゃないって何度も言ってるでしょ!」
「うっせーな。戸締りすんだろうが、さっさと出やがれ糞マネ!」
「そんな事言って、本当は私が終るの待ってたんじゃないのー?」
そんなはずがないとまもりは、少しいじわるな表情で蛭魔を見上げる。
その言葉に蛭魔はまもりが予想した通りの反応を返してきた。
「あー?何言ってやがんだ、んなわけあるか!しまいにゃ襲うぞてめー」
あまりに一言一句予想通りの言葉を吐き出した蛭魔が、急に可愛く思えてまもりはクスリと笑ってしまう。
そこで生まれる油断。
「どーぞ。襲ってみれば?」
クスクスと笑いながら踵を返し、部室から出るために扉に向かうまもり。
今まで、どんな暴言を浴びせてきても蛭魔は自分・・・いや女子には
決して暴力を振るったことがない事をまもりは知っていた。
口や態度は悪くても、根本のところでは蛭魔は善人なのだと今まで彼を見ていれば容易に知ることができたから。
扉にまもりが手をかけた瞬間、背後からその手を止められた。
人間にしては、長い指を持つ大きな手が自分の手を上から押さえつけているのを見て、まもりは後ろを振り返った。
「何、するのよ!」
顎をもう片方の手で掴まれ、無理矢理上を向かされて、すぐ自分の上に影が落ちてきたと思ったら、考える間もなく唇を何かで塞がれた。
柔らかい感触がまもりの唇に広がる。
生暖かい物が自分の唇をなぞり、ゆっくりと中に侵入してきた。
「・・・・・・・!」
目を見開いた。目の前には、強い瞳を称えた雄。
自分が今蛭魔に唇を許している事に驚いた。
抵抗をしなければと脳が命令を全身に送っているのがわかる。
でも、体は動かない。
なんとか蛭魔の両肩を軽く押し返すだけの弱々しい抵抗。
「はっ・・・・・・な、なにを・・・」
唇を解放されたまもりはその場にへたり込んでしまう。
目の前にはすでに部室から出て、振り返りもせずに佇む蛭魔の背中。
「さっさと帰るぞ」
「・・・な、なんなのよ!一体、なんのつもりなの?」
濡れたままの唇を制服の袖口で軽く拭いながら落ちたカバンを拾いあげ部室から出る。こんな時でも、きちんと消灯や戸締りを確認してしまう自分が憎らしかった。
数歩先を歩く蛭魔の背中に罵声を浴びせるが、彼からは何の反応もない。それが逆にまもりを不安にさせていた。
「馬鹿っ嫌がらせのつもりなんでしょ!」
「・・・・・」
「もうっ何か言いなさいよ!無理矢理あんな事して許さないわよっ」
その言葉に蛭魔は立ち止まってゆっくりと振り返った。
驚くほどに真剣な表情に、まもりは言葉を繋ぐことができない。
「無理やりじゃねーだろ。お前がやれって言ったことじゃねーか」
「だって・・・あれは!まさか本当に・・・」
部室で唇を合わせた事を思い出してまもりは今更ながら真っ赤になる。
唇に残る柔らかい感触や、口の中を動き回った温かい感触。
自分の顎を掴む蛭魔の手の熱さや、引き寄せられた時に感じた、一瞬の躊躇と優しい抱擁までも。
「あんまり、俺を信用すんじゃねーよ糞マネ」
そう言うと、踵を返してまもりに近づいてくる。
「・・・・・・え、蛭魔・・・くん?」
そっとまもりの頬に手を添える蛭魔。
一瞬、まもりは瞳を閉じた。
「?」
予想していた感触は感じられず、いつの間にか手の熱さも消えて、
「さっさと帰れよ。じゃーな」
それだけを言い残すと、蛭魔は今まで歩いてきた道を戻っていく。
まもりが気づくと、ここはもう自分の家が見える場所。
今は女子高生が1人で歩くには危険が伴う時間帯。
「ひょっとして送ってくれたんだ・・・」
小さくなっていく蛭魔の背中をまもりはいつまでも見つめながら、自分が彼の唇を嫌なものだと感じなかった事を思い出した。
「まもり姉ちゃん、おかえり!」
「セナ!」
近所の弟のように可愛がっているセナ。
彼を守るためにアメフト部のマネージャーになった。
でも、今はセナを守る必要はないのだ。
なのに、自分はマネージャーを続けている。
続ける理由はなくなったのに。
「遅かったね」
「あ・・・部室の整理してたの、だから・・・」
「あれ、どうしたの?顔、真っ赤にして。風邪?」
覗きこんでくるセナは、一年前の小さな存在ではなく今や自分と肩を並べるほどに大きくなっていた。
「ううん、大丈夫。迎えに来てくれたの?ありがと、セナ」
「・・・?」
「さ、帰ろ!」
火照る自分自身を少し持て余しながら、まもりはセナの背中を叩く。
「私、これからもマネージャーがんばるからね!」
end
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7/2
勢いに任せて書いてしまった(笑)
割と普通なのでmixiにもアップするかな(笑)
つか、なに、この少女漫画みたいな展開!
・・・自分で書いてて恥ずかしくなったわい・・・・
投稿者 水天宮拓仄 : 2007年09月30日
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