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『HIGHEST PRESENT』
2004年12月24日夜。
新宿の真神学園近くのラーメン屋前に、背の高いスーツ姿の青年が寒そうに
両肩を抱いて人待ち顔であたりを見渡していた。
ラーメン屋の前にスーツ姿という妙な光景ではあったが、
夜10時近いという事もあって人通りは少ない。
青年の耳に遠くからバタバタと人が駆けてくる音が聞こえる。
「ひーちゃん!悪りぃ!」
スーツ姿の青年は黄龍の器・緋勇龍麻。
そして、慌てた様子で駆け寄ってきた男は蓬莱寺京一。
2人は高校生の時に東京を救ったという経歴を持っている。
「遅い!お前の遅刻癖は高校の頃から変わらないんだな」
冷ややかな視線には静かな怒りが湛えられ、
身に着けていた腕時計を眺めて無言で時刻盤を指差す。
「待ち合わせは21時だと言ってきたのはお前だろう?
この寒い中・・・俺を1時間も待たせるとはいい度胸だな」
普段は温厚で言葉も綺麗な龍麻が本気で怒っている事に京一は慌てた。
確かに今日の待ち合わせは自分から言い出した事で、
久しぶりの日本で迎えるクリスマスを遠距離恋愛中の恋人と過ごしたいと思ったのだ。
京一は真神学園を卒業した直後、龍魔と劉を誘って中国へ修行に出ており、
先日帰国したばかりである。
一方龍麻は中国から2001年に1人で帰国し、仲間の1人である壬生の所属する
とある機関で自分の持つ能力を活かした臨時のアルバイトなどをして暮らしていた。
「ひーちゃん・・・ごめんな・・・久しぶりの再会なのに」
申し訳なさそうな表情を見せる京一にそれ以上何も言えなくなってしまう。
龍麻にしても久しぶりに会った恋人を前に、嬉しくないはずが無かった。
「まったくだ・・・1時間も無駄になってしまったんだから責任とってくれよ?」
腕を組んで京一を睨むが、もう目の前の顔は嬉しそうに輝いていた。
「おうっ!今日は俺がおごっちゃう!さ、入ろうぜ!」
肩を組んで向かった先は待ち合わせをしていたラーメン屋。
「ちょ・・・ちょっと待て京一!クリスマスのディナーってラーメン?」
恐る恐る隣に視線を送ると、力強く頷く恋人がいた。
ガックリと龍麻が肩を落した事を了解と理解したのか、
京一は抵抗できない龍麻を店内に引きずるように入っていく。
「へい、いらっしゃい!」
「久しぶり!おっちゃん!」
ニコニコとカウンターの向こうにいた店主に手を上げる京一と、力無く会釈をする龍麻。
「あれ・・・京一くんかい?久しぶりじゃねーか!
ここんとこ全然来なかったから心配してたんだよ!今、どうしてるんだい?」
店主がカウンターの中から出てくると京一の手をがっと両手で掴みブンブンと振った。
「ちょっと中国に修行に行ってた!もう日本に俺より強いヤツはいねーだろーな!な、ひーちゃん?」
「・・・はいはい」
呆れ顔で京一をチラリと見てため息をつくと、スーツの上着を脱いでカウンターにバサリと放った。
クリスマス、久しぶりに会える恋人とディナーを楽しもうと、
スーツを着こんできたのが馬鹿らしくなったのだ。
京一は普段着の上に、今いるのはおしゃれなレストランではなくて、
高校時代に通っていたそう綺麗でもないラーメン屋なのである。
「そっちの彼は緋勇くんか!いやー見違えたなぁ!スーツまで着ちゃって、どうしたの?
彼女にでも約束すっぽかされたのかな?ははっ」
この時間、スーツ姿で京一とラーメン屋に来ていたら店主の予想は普通の推測だろう。
だが、その言葉に龍麻はさらにがっくりと肩を落としてふらつきながらカウンター席に腰をかけた。
「味噌ラーメン1つ」
再会を懐かしんで話し込んでいる店主に向かってボソリと注文を告げると、京一を睨みつける。
さっさと食べるものを食べてここから立ち去りたいのだ。
「あ、はいはい!じゃ、京一くんは?」
「俺も味噌ラーメンね!にんにく大盛りで!」
「・・・!!」
その言葉に驚愕の表情を見せ、龍麻はさらに京一を睨みつけるが
まったく気付いてもらえないようである。
「あいよ!」
店主がラーメン作りを始めるのを嬉々として見つめる京一の足を踵で踏みつけた。
「いだっ!な・・・何すんだよ~ひーちゃん?」
踏みつけられた足をもう片方の足に持ち上げてさすりながら
見つめてくる京一に龍麻は不機嫌な顔を見せる。
「お前さ・・・わかってんの?俺達は久しぶりに会ったんだぞ?
今日はクリスマスイヴ・・・どういう日か知ってる?」
「ああ!もちろん知ってるぜ!だから今日の約束したんじゃん」
チラリと店主に視線を向け、ラーメン作りに集中しているのを確認してから龍麻は小声で囁く。
「この後、どうすんの?」
もうこの際ここでラーメンを恋人同士で啜るのは仕方ないと諦めて、
次の予定に期待を込めて聞いてみる。
「この後は・・・そうだな~どうしたい?」
「・・・何も考えないで俺を呼び出したのか?」
目を吊り上げる龍麻にびくりとした京一が宙に視線を漂わせる。
どうやら発言が図星だったらしい。
はぁ~と溜息をついた龍麻が何かを言おうとした瞬間、
店主がカウンターに近づいてくる気配を感じて口をつぐむ。
「はい、味噌ラーメンおまち!」
店主はドン!ドン!と2人の目の前にラーメンを置くと使った調理器具などを洗う為に
奥の方へ姿を消した。
「いただきます」
「おう」
寒い中薄着で長時間立っていたので龍麻は京一に言いたい事をとりあえずしまいこみ、
割り箸を割ってラーメンを食べ始める。
無言でズルズルとラーメンを食べ終えた2人は早々と店から引き上げた。
夜11時とは言え、中央公園にはクリスマスを楽しむ恋人達の姿がチラホラと見受けられた。
公園の中にあるベンチに久々の新宿を楽しむ京一と、
ラーメン屋から不機嫌なままでいる龍麻が腰掛けていた。
「なあ、ひーちゃん。いい加減機嫌直せよ」
「うるさい・・・お前が悪い」
「そりゃ・・・そーだけどさ。せっかくのクリスマスイヴ。久しぶりの逢瀬を楽しもうぜ?」
隣に座る龍麻の肩を引き寄せたがすぐにそれは振り払われた。
「いくら夜とは言え周囲に人がたくさんいるんだ。少しは気にしろよ」
「えーいいじゃん。みんな自分達の事で精一杯で俺達のことなんて見てねーよ」
強引に龍麻の肩を引き寄せてぐっと自分に密着させながら、
満足そうに笑う京一に諦めて体をゆだねる。
「京一・・・にんにく臭いよ・・・」
くすくすと笑いながら京一に身を寄せながら周囲を見つめた。
夜の割りには人が多いがみんな恋人同士の時間を楽しんでおり、
他人の事など気にしていない様子だ。
中には、自分達のように同性同士で良い雰囲気を出している2人組みの姿も見える。
「機嫌直った?」
「・・・ああ、せっかくのクリスマスイヴ。どうせなら楽しく過ごさないと損だしね。
イヴも残り1時間だ・・・」
ベンチに腰かけながら寄り添う幸せな時間。
今まで離れ離れに過ごしていた時間を埋めるかのように龍麻は
そっと瞳を閉じて京一の体温を心地よく感じた。
「ひーちゃん・・・」
「ん?」
龍麻が寄りかかっている方の反対側で、ゴソゴソと京一が腕を動かした。
瞳を開けると目の前にラッピングが少しくたびれた小さな箱が現れた。
きょとんとして京一を振り返ると、少し頬を赤くして鼻の頭をぽりぽりと掻いていた。
「メリー・クリスマス・・・これ貰ってくれ」
「え・・?あ、ありがとう」
京一からクリスマスプレゼントを貰うなんて初めての経験で龍麻は戸惑いながらも、
胸がしめつけられるような感覚を味わった。
「開けてもいい?」
照れながら無言で頷く京一の目の前でガサガサと包みを取り除き、
箱をそっと開けるとそこには小さな石がついたブレスレット。
「つ、つけてやるよ」
「うん」
腕時計を外して差し出された腕に大きな手で器用にブレスレットをはめる。
「うん、似合う」
手をぎゅっと握りしめ、龍麻の瞳を真正面から見つめながら京一は嬉しそうに笑っていた。
「俺からのプレゼントも受け取ってもらえるか?」
「もちろん」
「じゃ、目瞑って」
「なんで」
「いいから早く」
急かされて瞳を閉じる京一を前に周囲を見渡すと、すっと顔を近づけた。
ちゅっと小さく音を立てて龍麻は京一の唇に自分のそれをあわせた後、すぐに離れる。
「メリー・クリスマス、京一。愛してるよ・・・ちょっと臭うけど、許してやる」
ベンチから立ち上がり呆然としている京一を振り返って微笑んだ。
「最高のクリスマスプレゼント・・・・俺も愛してるよ、龍麻」
立ち上がり目の前で微笑んでいる龍麻を引き寄せて、今度は京一が唇を寄せた。
公園にある時計が0時を指す。
To lovers Merry Christmas.!!
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crisにてマイフレンドさんから頂いたキリリクで書きました。
まさかcrisで魔人をリクエストされるとは思っていなかったので嬉しかったvv
しかも、私が好きな京主で・・・内容は「クリスマスっぽい話」
クリスマス前に仕上げたかったので、間に合ってよかったです。
しかし魔人やってから、だいぶ時間が経過しているので2人の口調や性格が
かなり違和感あるのですが・・・これが精一杯な感じになってしまいましたorz
でも・・・まあ、捏造未来なので学生時代より言葉使いが違うかもだし!(苦笑)
書くのはとても楽しく書けたので、自分的には満足です♪
12/15
投稿者 水天宮拓仄 : 2007年12月16日
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