■ 『 幸福の再来(2008年5月) 』 水天宮拓仄

遠くからあの人の声が聞こえた気がした。

雪が降る十二月も終わりに突然姿を消したあの声。

どんなにどんなに願っても、二度と巡りあえないとわかっているのに。

毎日のように夢で逢い、目が覚めてはあの痛い想いを味わう事も慣れてきた。

目の前がぼんやりと揺らぐ。

またあの人の声が聞こえてくる。

空耳を振り払える方法を誰か教えて欲しい。

「 凍也 」

背後から伸びてきた両腕はあの人のもの。

溢れ出す熱い想いが至福の時が再来した事を感じていた。