|
 |
|
 |
|
■ 選択式お題より10個抜粋
01.苦しくて苦しくて愛しくて (サンジ×ルフィ) 水天宮拓仄 |
|
|
グランドラインも半分を過ぎ、麦わら帽子がトレードマークの海賊は順調に航海を続けていた。
海賊を名乗ってから今だ一年足らずのうちに、イーストブルーを抜けてグランドラインへ入り、
さらに世界政府公認の海賊である王下"七武海"である”サー・クロコダイル”と”ゲッコー・モリア”を破った。
航海を続けるたびに死闘を繰り返し、力をぐんぐんと付けていく男を船長に持つ仲間達は幸運なのか不運なのか。
少なくても、仲間達の食事を任されているサンジは複雑な気持ちで船長の背を見つめている。
何事もなく航海を続けている中は心が通じ合い、同性でありながら恋愛関係にある感じるのは幸せだった。
だが、島へ上陸し死闘に身を投じると言い様のない不安にかられ、強敵と戦う姿を見つめる時。
ゴムの体を限界までに酷使して勝利を手に入れた後も傷つき、倒れこむ姿は死を連想させる。
ー苦しい・・・ー
あまりにも人間離れしたルフィの強さは、サンジ自身の「守ってやりたい」気持ちをよそに自分は遥か及ばない。
仲間全員に懸賞金が掛けられているとはいえ、こうも島へ上陸するたびに巨大な敵が目の前に現れる。
死ぬつもりは無いが、いつかそれが保証される事はない。
自分が死に、ルフィを残していくのも苦しい。
逆にルフィが・・・・・残されるのも苦しい。
誰よりも強いルフィを愛しく思う気持ち。
ー俺は何を望んでいる?ー
共に生きる事か、それとも共に死を迎える事か。
平穏な日々を過ごし、愛しい者と共に夜を過ごし、穏やかな時間を過ごす度にサンジの頭に浮かぶ不安。
いつまで共に過ごせるのだろうか。
自分の力では共に生きる事も、共に死ぬ事も敵わないのではないか。
隣りで静かに寝息を立てている男をいっそ自分の手で・・・。
いつも辿りつく答えは同じだった。
胸が苦しくなり、呼吸も荒くなる。
ー苦しくて苦しくて・・・それでも愛しいー
そっとベッドから抜け出し、部屋にある窓を開けると気持ちよい潮風が頬をなぶる。
すぐ近くには船を停泊させている港がある。
背後で眠ったままのルフィを抱き上げて、港から身を投げるのもサンジにとっては容易な事と思えた。
無防備な寝顔、自分に対する絶対の信頼。
窓から空を見上げるとおぼろ月が視界に入る。
ー月が見ている・・・かー
音を立てないように窓を閉め、カーテンを絞める。
そっとベッドに近づくと、抜け出した時と同じように静かに布団の中に滑り込んだ。
華奢な体、少し高めの体温を胸に抱きながら両の瞼を閉じる。
「おやすみルフィ」
額に軽く唇を触れさせ眠りに落ちた。
end |
|
|
|