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| ■ 『 船上のバレンタイン 』 水天宮拓仄 |
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お腹をすかしたルフィがふと目を覚ます。周囲を見まわすと床で眠っているゾロと自分のハンモックで眠るウソップ。サンジのハンモックは空のままだった。
「サンジ…明日の飯作ってんのかな?」
小声で呟いたルフィは、そっとハンモックから降りてマストをのぼり男部屋を出る。甲板を歩き会議室兼キッチンへ向かった。
「やっぱりな」
キッチンの窓から明かりがもれて、誰かがそこに居るとルフィは確信した。もう夜中だし、こんな時間にキッチンを使うと言えばコックのサンジしかいないだろうと、ルフィは嬉しそうにキッチンのドアを開ける。
「サンジ〜腹減った!」
「ルフィ?」
そう言って振り向いたのはサンジじゃなく、ナミ。シンプルなエプロンを身につけてキッチンに向かっている。サンジが仲間になってから滅多にキッチンに立たなくなったナミがこんな夜中にここに居た。
「残念ね、サンジくんじゃなくって。サンジくんなら今日は、見張り当番よ」
「ナミこそ、何やってんだよ?こんな時間に」
椅子に腰をかけてナミの後姿を眺めながら、ルフィは素直に感じた疑問を口に上らせた。
「…チョコレート作ってるのよ」
ちょっと間をあけてナミは、いつもより小さい声で答えた。ルフィは気づかないがナミの頬は少し赤くなっている。
「ちょっと味見」
いつの間にナミの横に来たのか、ルフィがチョコレートに手を伸ばす。しかし、ルフィの手にチョコレートが触れることはなかった。
「ダメよ!これはあんたにやる分じゃないんだからっ」
ルフィの手を払いのけてチョコレートをすいっと横に回避させるナミ。
「じゃあ誰にやるんだよ?ずるいぞっ」
「ずるいって…あんたねぇ〜明日が何の日か知らないの?」
「明日?何の日だよ?」
口を尖らせてナミにブーイングするルフィに、ナミはすっとやさしく微笑んでみせた。ほとんど完成していたチョコレートをかわいい袋に入れると、テーブルへ置きエプロンを取って椅子に座った。
「明日はねぇ、バレンタインなの」
「バレンタイン…なんだ、それ?」
「どこまで無知なの…あんたは」
「だって、知らねぇもんは仕方ねぇじゃん」
ルフィもナミの正面に腰掛けるとかわいい袋を物欲しそうな視線で見つめる。まだ、チョコレートを諦めきれないようだ。その視線にナミがため息をつくと、すっと立ちあがって冷蔵庫を開ける。
「チョコレート少し余ったから、ルフィにあげるわ」
「おお、サンキュー!」
冷蔵庫からチョコレートを取り出してテーブルにつくまでの間にナミは、口を開く。
「バレンタインはね、好きな人にチョコレートを渡すの」
「なんで?」
チョコレートをルフィに手渡してからナミは、テーブルに置いてあるチョコレートを持ってドアに向かう。ドアを開ける寸前に立ち止まって振り向かずにルフィの質問に答えた。
「チョコレートと一緒に好きっていう気持ちを伝えるのよ」
「ふ〜ん…」
「じゃあ、この事は皆に内緒よ?おやすみ!」
顔を赤く染めたナミがバタバタとキッチンを出て行った。一人残されたルフィは、ナミから受け取ったチョコレートを見つめる。
「…好きな奴に渡すのか」
そう呟いてチョコレートを自分のポケットにしまいこむと、ルフィもキッチンを出ていく。もう、空腹のことなど忘れてしまっていた。
翌朝
ルフィが目を覚ますと、すでに全員キッチンに集まっていた。昨夜、中途半端な時間に起きてしまったルフィは寝過ごしてしまったのだ。
「おはよう」
「よお、やっと目が覚めたか!」
「遅いわよ、ルフィ」
一番最後に声をかけると同時にナミは立ちあがった。ドアの所に立っているルフィに、通りすぎ様に小声で囁く。
(昨夜の事は内緒だからね)
出て行くナミを振りかえってルフィは、ふと思う。ナミは誰にチョコレートを渡すんだろう?自分じゃないのは確かだった…ひょっとしたら、自分と同じ人に渡すんじゃないか…どうしようもない不安がルフィの胸に膨らんできてしまう。
「どうした?朝飯だぜ、ルフィ」
「あ、うん」
どことなく元気のないルフィにサンジは首をかしげながら、自慢のスープとサラダに特製サンドイッチをルフィの前に並べる。ゾロ、ウソップ、サンジもすでに食べ終わっているようだ。ルフィが席についたと同じにウソップが、新しい星の研究をするとか言いながら立ち去り。ゾロは、あくびをしながらキッチンを出て行った。
キッチンから出たゾロをナミが呼びとめる。
「ゾロ」
「ん?なんだよナミ」
ナミはみかん畑からゾロを手招きする。後ろ手にチョコレートの入ったかわいい袋を持って。いつもなら、平静に話せるのに今日は何故か緊張してしまうのは、ナミもやはり一人の女の子だからだ。
「あのね…コレ。あげる」
「なんだよ?」
差し出されたものを素直に受けとってゾロは、袋を無造作に開けた。中には、小さいチョコレートが数個入っている。
「チョコレートか?俺、甘いもん苦手なんだよな」
「…あんたねぇ…今日何の日か知ってるでしょ?」
「いいや?」
(こいつもルフィと一緒なの?でも、これをどう説明すればいいのよ〜)
「バレンタインよ」
「バレンタイン…あっ!」
遠い昔にバレンタインだと言ってチョコレートを貰ったことがあった。そのチョコレートの意味も教えてもらっている。それ以来、全然自分とは関係ないものだったので、すっかり忘れていたのだ。
「あんただけに作ったんだからね!大事に食べなさいよ!そんなに甘くないから食べれるはずだから」
赤い頬で一気にまくし立てる。ナミはみかん畑から出ようと、ゾロの脇をすりぬけようとして、ゾロに腕を捉えられる。
「な、なに?」
「サンキューな。ごちそうさま」
にかっと笑うとゾロは、ナミの腕を解放した。その笑顔に一瞬見惚れてしまったナミだったが、すぐに我に返って足早にみかん畑から自分の部屋へ駆けこむのだった。その顔は真っ赤に染まり、口元には笑みが浮かんでいた。
一方、キッチンにサンジと二人きりのルフィ
いつもなら、あっと言う間に食べてしまうのに今朝のルフィは、食があまりすすまない。さすがに心配になってサンジは、ルフィの正面の椅子を引いて腰を下ろした。
「どっか調子悪りぃのか?」
「ううん…」
「じゃ、なんでそんな顔してんだよ?飯、まじぃのか?」
「まずいはずないだろっ!」
俯いていたルフィは、ばっと顔を上げてサンジを見つめた。
「じゃ、なんなんだよ?」
少しイライラしながらルフィを見つめるサンジは、煙草を取り出す。口に咥えて火をつけた。
「なぁ、ナミから何か貰ったか?」
「へ?ナミさんから?」
「なあ?貰ったか?」
真剣な目で自分を見つめてくるルフィ。唐突な問いに一瞬サンジは、なんのことかわからなかったが…ふと、思い当たるふしがあった。レストラン時代には、あきるほど体験した日が、確か今日だったはず。
(バレンタインの事か…こいつが知ってるなんて意外だったな。そういや、ナミさんも今日は落ちつきがなかったし…なるほどね)
煙草を咥えたまま口元を引き上げると、ルフィの額を長い指で弾いた。
「ば〜か!ナミさんがオレになにをくれるってんだよ?」
「いてぇ!」
ルフィの表情がいっきに明るくなる。すると急に空腹を思い出したのか、目の前に並べてある朝食をいっきに胃袋へかきこんだ。
「ふぅ〜ごちそうさまっ」
「くそうめぇだろ?」
「ああっやっぱりサンジの飯は最高だな!」
満腹のお腹をさすりながらルフィが立ち上がり、キッチンで食器や鍋を洗っているサンジに近づく。
「褒めても、もう何もでないぜ?」
背後にルフィの気配を感じて手を動かしたまま首だけで後ろを振り返えるサンジ。そのサンジの目の前にルフィが、小さな袋を差し出して笑った。
「サンジにこれやる」
蛇口をひねって水を止めると食器を籠の中におく。濡れた手をタオルでふくと、サンジはルフィの差し出す袋を受け取った。
「なんだよ、これ?」
中身とその理由について、気づいているがルフィから直で言って欲しい。普段、まったくと言っていいほど、自分に愛を告白することのない恋人。
「チョコレート」
「なんで、オレに?」
口元を引き上げながら、長くなった灰をキッチンへ指で落とす。
「好きな奴に渡す日だからって…ナ、ナミが言ってた」
少し照れながら差し出していた手を引っ込めるルフィ。ルフィからの、聞きなれない告白を聞いたサンジの心は幸せに満ちていた。不器用ながらも、自分の気持ちを伝えてくれたルフィを改めて愛しく感じる。
「ルフィ。オレの事好き?」
「好きだぞ。だから、チョコレートやったんだし」
「ありがとうな。後で一緒に食べようぜ」
ルフィの体ごとテーブルの方へ移動して、手に持っていた袋をテーブルに置く。
サンジはルフィをキュッと抱きしめた。ルフィもそっとサンジの背中に腕を回す。うっとりと瞼を閉じるルフィの顎をサンジがとらえて、くいっと上に向かせる。それを合図にルフィの唇がそっと開かれた。
「サンジ…」
開いた唇から、ちらりと覗く赤い舌に誘われるようにルフィの唇に自分のそれを合わせる。舌を唇の中に伸ばしてお互いに絡ませる。静かなキッチンに絡められる濡れた音がわずかに響いた。
「んっ…っ…はぁ…んっ」
「ルフィ…」
何度も角度を変えてルフィの唇を貪るとサンジの指が、ルフィのシャツの下に潜りこんだ。その、ひやりとした感触にルフィがビクリと体を震わせる。
「ひゃっ…つめた…」
「がまんしな、すぐに熱くなるから…」
唇を解放したサンジは、ルフィの耳朶から首筋に舌をはわしてシャツのボタンを外すと、敏感な突起を舌で転がす。
「あっやっ…サン…ジ!やめろっ」
「いやだね、もう止まらねぇよ」
快感でルフィの膝が震え、もう立っているのも限界に近い。ルフィの体をすっと抱き上げるとテーブルの上に押し倒す。
「こ、こんな昼からっやだって…」
「昼もなにも…仕方ねぇだろ?」
覆い被さったまま、一旦愛撫の指を止めてルフィの顔を覗き込む。
「仕方ねぇって…なにが?」
「てめぇが、かわいい事してくれるからよ」
「なっ…な、何言ってんだよ」
頬を真っ赤にしてルフィは、サンジの視線から逃れるように顔を背ける。
「ほら、そういうのも。煽ってるんだぜ?」
くすくすと笑いながらサンジは、ルフィの下半身を覆うものを取り除いた。ルフィの中心は少し熱を持ち始めている。
「ば…やだっ!こんなとこでやんの」
「でも、てめぇもこんなだぜ?」
「…だって…サンジが悪いんだぞ……」
「どうする?」
意地悪く笑ってルフィの太ももを撫でまわすと顔を見つめた。
「……ヤル…」
「よろしい」
真っ赤になったルフィの頬にキスを贈るとサンジは、途中だった愛撫を再開させたのだった。
「あっやぁ…サンジっ」
熱くなっているルフィをやさしく舌と指で扱うとサンジの頭上から嬌声が上がる。唇にルフィを含みながらチラリと快感に身をまかせているルフィを盗みた。ズクリとサンジの中で熱がいっきに上昇するのを感じる。普段とのギャップが激しいこともサンジを煽る要因のひとつだった。普段の無邪気なルフィと、こうして抱いている時に見せる艶っぽいルフィ。後者は自分しか知らないルフィだ。その快感に酔いしれるサンジは、更にルフィを追い詰めていく。先端を軽く噛んでやるとルフィが高く鳴く。
「もっ…いぃよぉ!離し…てくれサン…ジぃ」
「いつもより感じてるみたいじゃん?ルフィ…」
唇を一瞬離して意地悪く笑うサンジだったが、ルフィにその言葉を否定する余裕がない。全身を覆う快感の嵐を耐えて震えている。
「…っあっ…んん…」
「もう我慢できねぇのか?」
サンジの言葉に瞳を潤ませて頭を縦に振るルフィ。かわいい仕草で自分を誘うルフィにサンジもすでに熱くなっていた。声もわずかに掠れている
「サンジ…?」
「安心しな、ちゃんとやってやるから」
再びルフィ自身に唇を寄せて一気に口内へ導く。強弱をつけて指で扱いながら唇でも愛撫を加えていく。ルフィの腰が震え、サンジの金髪にルフィの指が力なくそえられる。
「ああっ!もっだめっ」
一瞬体を硬直させたルフィは己の熱をサンジの口内へ放って、全身から力が抜けていった。ルフィの熱をごくりと音をたてて飲みこんだサンジは、唇の端にのこる液体を舌でぺろりと舐めた。そのいやらしい情景をルフィがうつろな瞳で見つめていた。快感のために意識が遠くに行っているルフィに再び口付けを贈る。サンジの舌に反応を返すルフィは、サンジの肩に腕を添えた。
「サンジっ…」
唇を離してサンジは己のワイシャツを脱ぎ捨てるとルフィに覆いかぶさる。もう一度ルフィの全身にやさしく口付けた。
全身に口付けを贈りながらサンジの指がルフィの奥まった部分に伸びる。その感触にルフィが体を震わせた。
「やっ…サンジ…それやだ」
「やだってもな…やらねぇとつらいだろ?」
「で…でも…それやると、変になるから…」
ごにょごにょと顔を真っ赤にしながらサンジをチラリと見ては、すぐに視線を外すルフィ。そのかわいい仕草は、ますますサンジを煽っていることがルフィに自覚がない事が恐ろしい。
「変になってもいいんだぜ?」
「やだよ…オレじゃないもん」
ちょっと拗ねた口調でサンジを見つめるルフィを思わず抱きしめるサンジ。
(かわいいじゃねぇか…このやろう)
「変になってもルフィはルフィだろ?オレの好きなお前には変わりねぇよ」
抱きしめながらルフィの中に再び指を入れる。サンジの指にルフィの背中がびくりと大きく揺れた。向かい合わせに抱き合いながらサンジは、ルフィの中を指で掻きまわす。
「あぁぁん!やっあぁ」
ルフィの腰を支えながらルフィの中に指を抜き差しと繰り返す。自分の指に熱く絡みつくルフィの内部。サンジの口元が吊りあがった。
「サン…ジっも…もうっ」
「ルフィ…まだだ…もう少し…な?」
もう少しこの淫らなルフィを見つめていたいと思った。己が我がを保っていられるのも、二人でつながる前までだと自覚しているからだった。ルフィと体をつなげるといつも余裕がなくなる。必死にルフィを抱く自分…原因はまだわからないままだが…そうなるのだから仕方がない。
「やだぁっ…早くっ…」
「悪かったよ…別に虐めてたわけじゃないんだ」
チュッと頬に口付けてから、己の昂ぶりをルフィへとあてがう。いくら慣れてきているとは言え、サンジが入ってくる瞬間に力が入ってしまうルフィ。先端を少し埋めたところで一度、止まるとルフィの頬をそっと撫でる。
「大丈夫…痛くないだろ?」
やさしく撫でながらルフィの力が抜けていくのを待つ。腰を少し動かして先端だけでルフィを昂ぶらせる。
「あっ…はぁっ」
力が抜けたときを狙ってサンジは一気にルフィの中に己を埋め込んだ。心地よい締め付けにサンジは満足そうに笑う。
「ルフィ…そんなに力入れんなよ…オレが痛いだろ」
埋め込んだまま身を傾けてルフィの唇を奪ってサンジは、唇を解放すると腰をすっと引いては、また埋める。ゆっくりとした動きで何回か繰り返す。
「ふぁっああっんん」
サンジが動くたびにルフィの喉が反り返り、濡れた音がキッチンに響く。サンジとルフィのつながっている部分からも、淫らな音がする
「い・・いぜ。ルフィ…」
「はっあぁ…んっ」
「ここも、こっちもすごいぜ…」
言葉でもルフィを犯しながらサンジは、だんだんと動きを激しくしていく。もう優しく言葉をかける余裕もなかった。ただ、お互いの快感を追い求める。
「あっあっ…もうっ」
「くっ…ルフィ…」
一瞬早くルフィの方が絶頂を迎えた。内部のサンジを絞めつけながら全身が痙攣する、すさまじい快感にのまれるルフィ。
「…っ」
ルフィの内部で絞めつけられたサンジも快感の嵐に飲まれる。ルフィの内部から己の昂ぶりを引きぬくと、ルフィへその滾りを放った。
「っ…!」
その一部がルフィの唇へ落ちた。それを呼吸もままならないルフィが、震える舌でペロリと舐め取る様は、今しがた絶頂を迎えたばかりのサンジが、再び熱を持った瞬間であった。
「ルフィ…もう一回やろうぜ」
「もう、やだからな」
「へ?何が?」
「こんな所で、昼間からすんの」
テーブルの上で満足に服も着ないままサンジとルフィは、小さなチョコレートを口に運んでいた。
「悪かったよ…でも、半分はてめぇのせいなんだからな」
「なんでだよ!オレはチョコあげただけだぞ?」
「まあな…来年は、違う場所で夜にでも渡してくれ」
キシシと笑うと、ルフィの唇についているチョコレートをぺろりと舐め取るサンジにルフィは、首をかしげたのだった。
「どうゆう意味だよ?」
「ん?なんでもねぇよ。来月のホワイトデーは、期待しとけよ!ルフィ」
満面の笑みをルフィに向けてサンジは、テーブルから降りて散らばったお互いの服を拾い始めていた。
「なんだよ…わけわかんねぇぞ。サンジ!」
END |
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