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| ■ 『 Necktie 』 水天宮拓仄 |
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海上レストラン・バラティエでルフィが雑用として働き出してから数日。
雑用ルフィは、バラティエの副料理長であるサンジが気に入っていた。
「なぁサンジ!オレと一緒に海賊やろうぜ!」
一日に何度となく繰り返されるその言葉にサンジはほとほとウンザリしている。
「あのなぁ雑用?何度言えばわかるんだ?オレは海賊なんかにゃならねぇよ」
一緒にレストラン開店準備中している間のやりとり。雑に床をモップで掃除しながら
サンジの後について回るルフィに大きなため息がもれた。
「お前も強情な奴だな!」
「どっちがだっ!」
ルフィの勧誘にほとほと呆れたサンジは、どんなことを言われても無視と決めて
黙々と開店準備をすすめる。それでもめげずにルフィが後ろからついてきては
うるさいので威嚇のつもりで上から厳しい視線でルフィを睨み付けた。
「・・・・・・」
「な・・・なんだよサンジ」
しばらく無言で睨み付けられたルフィの眼前にサンジのネクタイが揺れる。
ルフィは何気ない気持ちでネクタイをグイっとひっぱた。
「−−−−っ!」
「わっ!」
ネクタイがサンジの首を締め付け、表情が苦しそうにゆがむのを見てルフィは慌てて手を離した。
しばらく咳き込むサンジを申し訳なさそうに見て、下から覗きこむ。
「て、てめぇ・・・殺す気かっ」
険しい表情で締め付けられたネクタイをぐいっと緩めるサンジを見上げた瞬間。
ルフィの鼓動がなぜか跳ね上がった。
自分よりいくぶんか高い身長のサンジを少しかがんだ状態で見上げる角度に。
ネクタイを緩める瞬間に天井を仰ぎ見るサンジの首筋。
少し苦しそうな表情。
見た途端、ルフィの鼓動が早くなる。一瞬、体温さえも高くなるような錯覚を覚えた。
「ご・・・ごめんっ」
自分の突然の変化に気づいたルフィは、サンジを見つめていられなくなって下を俯く。
まだドキドキと高速な鼓動を刻む自分の胸に手を当ててルフィはしばらく俯くしかなかった。
「おい、そんなに気にすることねぇよ」
そのルフィの仕草がサンジの目には、自分がひどく叱り付けてしまいルフィが
落ち込んでしまったのだと見えたようだ。俯くルフィの肩に手をおいいて軽く撫でる。
落ち着かない様子のルフィに首を傾げたサンジはしゃがみこむとルフィの顔を覗いた。
「・・・?どうした?熱でもあるのか雑用?」
少し頬を赤らめていたルフィの表情を見て驚く。
「や、なんでもない」
ポリポリと頭を掻きながら、もう静かになっている自分の胸に手をあてながらサンジを見つめた。
「オレも大げさすぎたな。んなに気にすんなよ」
ネクタイを結びなおしながらルフィを見つめていると、自分の手元をじっと見ているルフィの視線に気がついた。
「ネクタイがどうかしたのか?」
「それ、ネクタイって言うのか?サンジ、いっつもしてるんだな」
「まあ・・・な」
なぜか誇らしげにネクタイをルフィに見せつけると、慣れた手付きできゅっと締めなおした。
開店準備をいつも通りに進める二人。
いつもと違うのはサンジの後ろ姿を見つめるルフィの視線だけだった。
fin |
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