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| ■ 『 見ちゃった! 』 水天宮拓仄 |
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私は、ふと目が覚めてベッドから身を起こした。時計を見ると、今は明け方近くで、今からもう一度眠るには、微妙な時間。そういえば、喉も渇いてる…この時間ならサンジ君が朝食の支度をはじめているはず。キッチンへ行って、冷たい物でも作ってもらおうと、私はベッドから抜け出て部屋を出た。
「ん〜!さわやかな朝だわっ。たまには早起きもいいものね」
甲板に出て、明るくなりはじめている空を見上げて大きく伸びをした。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、心地よい潮風を全身で浴びるのは気持ちが良かった。私は、早速キッチンに足を向けて静かに歩き出す。まだみんなは眠っているはず、普段はどうあれ、私だってきちんと気を使っているってわけ。サンジ君にみかんジュースでも作ってもらおうかしら?育った村から移植したみかん畑を眺めならキッチンの扉に近づく。すると、キッチンの中からわずかな物音と話声が聞こえてきた。おかしいわね?サンジ君以外のみんなは、まだ眠りの中にいるはずなのに。そっと気配を忍ばせ、扉の近くある小さな窓から中を覗いてみることにする。覗き見は得意中の得意なのよね、私って。自然と口元が笑うことを抑えきれない私は、次の瞬間目に飛び込んできた光景に我を疑った。
「え……?」
わずかな声が私の唇から漏れる。慌てて視線を窓から外すと心臓がうるさいほど動いいているのが自分でもわかる。中にいたのは、サンジ君とルフィ…あ、あの2人がこんな関係だったなんて!テーブルに服を脱がされたルフィが押し倒されて、その上にサンジ君がおおかぶさり、2人は激しく動いていた。ドキドキとうるさい心臓の鼓動を抑えながら、もう一度窓から中を覗いてしまう、私も…まんざら興味がないわけじゃないのよね。中からは、サンジ君の荒らしい息遣いとルフィの普段なら想像もつかない声色の吐息。
(やだ……ドキドキしてきちゃう…男同士なんて…)
2人の動きに目が離せなくて、時々見え隠れするサンジ君の顔もルフィの顔もなんだか色っぽく感じてしまうなんて、私どこかおかしいのかしら?こんな、世の道徳に反する行為を見ても嫌悪感が沸いてこないなんて…。
(ルフィ…とサンジ君…ね)
さすがに、ずっと覗き見しているのも趣味が悪いわね。私はそっとキッチンの扉から離れると、ドキドキもだいぶ落ち着いてきて、今はみかん畑の中にあるテラスにいる。椅子に腰かけながら、さっきの光景を思い浮かべてしまう。やだ、私って欲求不満なのかしら?なんて思ったりするけど、あの2人の組み合わせなら“ありえる”とも考えてしまう。
「…ま、海賊にはありがちなことって考えるしかないわね」
ふうっとため息をついてから、次の瞬間に私は良いアイデアが浮かんで、口元を吊り上げた。
朝食を終えて、私はキッチンでサンジ君と2人きり。普段通りに朝食を用意し、食器を私に後ろ姿を見せながら洗うサンジ君に、さきほどの様子を想像させる要素はない。それも、そうよね。私だって、実際に見るまではわからなかったんだもの。あの様子からして、あの2人は相当長いはずだわ。悪いけど、サンジ君…あなた達の恋愛、利用させてもらうわよ。また口元に笑みが浮かぶのを私は抑える気もなかった。
「サンジ君」
食器を鼻歌交じりで洗い続けるサンジ君は、私の呼びかけににこやかに振り返りながら答えた。次の瞬間には、その笑顔は崩れるでしょうけどね?
「はいっナミさん!何か御用ですか?」
水道のコックを捻って水を止めると、私の正面に向き直った。こんな態度のサンジ君も可愛いんだけどね。
「サンジ君とルフィはいつから“イイ仲”なの?」
「えっ!な…っなに…をナミさん!」
顔を真っ赤にしたサンジ君を前に私は椅子から立ち上がると、ずいずいとサンジ君に接近する。それに後づさっていくサンジ君はキッチンで追い詰められ、動きを止めた。私の視線から、必死に逃れようとしているのがわかる。
「私、見ちゃったのよねぇ?あなたとルフィのイ・イ・ト・コ・ロ!」
「…っ!ナミさん!」
「なあに?サンジ君?」
いたずらっぽい笑みを作ると、サンジ君はあきらめたように肩を落として私の予想とおりのことを口にしてくれた。
「…ローンでいいっすか?」
その言葉に私に満面の笑みが浮かぶ。私を見てサンジ君が泣きそうな顔になったけど、これはビジネス!関係ないことね。
「ええ、いいわよ」
にっこりと笑いながら、用意しておいた請求書をサンジ君に手渡して扉に向かう。
「そんなぁ。ナミさぁ〜ん」
情けないサンジ君に声を聞きながら私は、後ろに向かって手をひらひらと振る。
「毎度あり〜サンジ君vさ、今度はルフィのところね」
今日も、私のビジネスは順調で、世界中の海図が完成したころには世界一のお金も夢じゃないわね!
End |
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