■ 『 病はHから 』 水天宮拓仄

 いつも通りの朝。いつも通りの風景。ゴーイング・メリー号の船首にまたがっているのは、この船の船長。そう、モンキー・D・ルフィだ。
(毎朝毎朝、なに見てんだ?あいつは)
 己の気配にも気づかずにずっと海を見つめるルフィの背後に、コックでもありルフィにとって特別な人間でもあるサンジが佇んでいた。
「あっ!」
 サンジの目の前で、突風が吹く。ルフィの麦わらが空を舞い、海に落ちていく。その次には、ルフィが帽子を取ろうと海に飛び込んだ姿が目に入った。
「あっ馬鹿っ!泳げねぇくせに!」
 手早く靴とジャケットを脱ぎ捨てると、サンジはルフィの後を追って海にその身を投じた。



その日の夜
 夕飯の時間だというのに、サンジの姿がキッチンにない。替わりにキッチンに立っていたのはナミ。そして、サンジを除いた仲間が全員集まっていた。
「ルフィ、食べ終わったらサンジ君の看病やるのよ」
「うん、わかった」
 ナミに言われなくても最初からそのつもりだったし、今サンジがここに居ない原因も自分のせいだと思っていたルフィは、素直にうなずくとナミが用意してくれたサンジ用の夕食を持ってキッチンを出た。


 男部屋に入るとサンジは、ソファを2つ並べた簡易ベッドの上に横になっていた。サンジの額には生ぬるくなったタオルがのっている。
「サンジ、大丈夫か?飯持ってきてやったぞ」
「ん…ああ、ルフィか」
 体を起こしてソファの背もたれに寄りかかる。サンジへ接近するルフィは、心配そうな表情になっていた。
「ごめんなサンジ」
「何謝ってんだよ、気にすんな。いつもの事だ、今日はたまたま調子悪かったからな。お前のせいじゃねぇよ」
 にかっと笑うサンジはルフィの頭をくしゃりとなでて、すぐに手を離す。朝から比べれば熱も下がっていたが、自分がかいた汗でワイシャツがすでにぐっしょりと濡れてしまい気持ちが悪い。
「ルフィ、着替えるからタオルと水持ってきてくれ」
「うん、ちょっと待ってろよ」
 バタバタを部屋を出て、すぐにタオルと水を盥に持ってきたルフィは、サンジの言われるままにタオルを水に浸して固く絞った。
「汗、拭いてくんねぇか?濡れてて気持ち悪いの我慢してたんだ」
「おうっ任せろ!」
 サンジの役に立てるのがうれしくて、サンジに近づきタオルをそっと首筋に当て丁寧に汗をふき取る。横からだとやりにくくてサンジの正面に回った。
「はぁ〜気持ちいいぜ〜」
 首筋から胸や肩へをルフィの持つタオルが汗を拭きとっていってくれる。その心地よさにサンジは満足していた。自分で拭いた方が早いのだが、こうゆう時でもないとルフィに体を拭いてもらうチャンスなんて無いと思ったりして。そして、そんな気持ちがサンジの中でふくらんでいく。そして、悪い虫がむくむくを頭を出し始めて、自分の胸のあたりを拭いているルフィの手首を掴んむサンジ。
「あっ何すんだよ?まだ終ってねぇぞ」
「なあルフィ。上はもういいから、こっちもキレイにしてくれよ」
 掴んでいたルフィの手首をぐいっと下半身へ導くと、ぐっと自分を握らせた。
「やっ…そん…んんっう」
 ばっと顔を上げたルフィの顎を掴んで、強引に口付けたサンジは互いの舌を絡ませ唇を甘噛みしたりルフィの弱いところを攻めたてる。
「んっ…はっ…んん〜」
 サンジの熱い舌が口内で蠢いている、それだけでルフィの舌から手や腰と全身に痺れるような感覚が広がっていく。握らされたサンジも徐々に熱を持ち始めているのが分かると、ルフィは全身の熱が上がる事を感じていた。
「あっ…」
 ルフィの唇を解放して、唇に絡まる唾液をペロリと舐めとったサンジはいやらしい笑みを浮かべた。
「なあ、お前のココでキレイにしてくれよ?」
 唾液に濡れたルフィの唇を親指でなぞりながら囁きかけるサンジの表情は、いつになく上気しており、声も掠れている。発熱のせいでもあるが…ルフィには、そのサンジがまさに夜見ている彼の姿とダブってしまい、顔を真っ赤に染めていった。そして、まだサンジの下半身においたままの腕を引こうと力をこめる。
「だ、だめだぞサンジ。お前熱あんだから…その、寝てないと」
「おっと、待てよ?オレは別に今やろうってんじゃない。ただ、キレイにしてくれって言ったんだぜ?何想像してんだよ?」
 クスッと笑いながらルフィの手首を掴む。言葉とは反対にサンジはすでに熱くなり、ルフィの掌にその存在を示していた。
「やだよ…サンジ」
「なんで?いいだろ、たまには」
「だめだ!寝てろっ」
 サンジの手を振り切って己の腕を取り戻したルフィは、サンジから離れる。
「ふ〜ん…わかった」
「そ、そうだぞ早く治して飯作ってくれよ」
 てっきり諦めてくれたのかとルフィは、ほっと胸を撫で下ろした。しかし、次の瞬間にそれは裏切られるのであった。
「オレが熱出したのはどうしてなんだろうなぁ?」
「うっ…」
「毎日毎日、クソ上手い飯作ってんのは誰だっけかな」
「むむっ」
「毎晩毎晩、夜中に叩き起こされて誰かさんの夜食作ってんの誰だっけ?」
 つらつらとルフィの痛いところをつくサンジ。
「そ、そんなのずるいぞっ」
「だって事実だろ?」
「お、オレだっていつも嫌だってのに…無理矢理やってんのに」
 ブチブチと赤くなりながらサンジから視線を外すとルフィは俯いた。
「無理矢理じゃないだろ?結局最後は“もっと”ってせがむくせに」
「そんな事言ってない!」
「言ってんだよ」
「言ってない!」「言ってる!」←これを後30回繰り返し読んでね♪
 終りがない論争に終止符を打ったのはサンジだった。
「言ってない!」
「よ〜し、そんなに言うなら…」
 ルフィの手を掴むと力任せに自分へと引き寄せると、ルフィの体はソファに倒れこんだ。そのルフィにすかさずサンジが覆い被さる。
「なにすんだよ!」
「今から試してやろうか?本当に、言ってるか言ってないかを」
 にやりと笑ってルフィの上着をすばやく剥ぎ取ると、それでルフィの手首を束ねてしまった。今まで、こんな扱いを受けたことがないルフィは目を見開く。
「なんだよ!これっ?」
「てめぇが強情はるから、お仕置きだ」
 口の端を吊り上げて笑うサンジは、ルフィの下半身を包むものをすべて剥ぎ取る。いっきに外気に晒されるルフィは身震いした。
「試してやるよ、ルフィ。てめぇがどんなに“やらしい”かをな」
「やだっ!離せよサンジっ」
 己の足の間でバタバタを暴れるルフィにそっと指を伸ばす。胸の頂点を指先で摘み上げると、とたんに動きが鈍る。
「ほら。こんなくらいで、感じてたらダメだろ?」
「やっ…んっ」
 必死に出る声を堪えるルフィを楽しそうに見つめたサンジは、さらに指を胸の上を滑らせていく。胸の頂点を指で弄びながらルフィの耳元に唇を寄せて、いつもより熱い息を吹きかけ、舌を耳に這わすとルフィはたまらずに喘ぎを漏らし始めた。
「んっ!あぁ…はぁ…やぁ…ンジぃ」
 感度のいいルフィにサンジはクスリと笑う。耳元から唇を離すと、今度は唇を奪った。ルフィの方から舌が絡ませられ、その舌に応えてやる。ぴちゃぴちゃと舌の絡まる音が耳に届いて、体がますます熱くなっていく2人。
 唇を合わせながらサンジの指が胸から下へ下りていくと、サンジの口内にあるルフィの舌が一瞬動きを止める。その舌を軽く噛んでから唇を離す。唇と唇の間が1本の糸で結ばれる。
「あっんっ」
 サンジがルフィ自身をそっと指先で弾くと、ルフィは喉を反り返らせる。全身がぴくぴくと痙攣するように震えていた。
「まどろっこしいだろ?」
「んんっ…あっ…やだっ」
 肝心な場所には触れずに、サンジはルフィの太ももや、すでに硬く立ちあがっているルフィのまわりを指でそろそろと撫でるだけ。
「うっあぁ!サンッジ…やっあっ」
 自分の腕が自由にならない分、ルフィはこのどうにもならない感覚に限界が近いことを無意識に感じて、体がそれを欲する。腰をくねらせ淫らにサンジを誘うルフィ。
「どうして欲しい?」
「んあっ…はぁ…あっんん」
 今度は、すでに濡れはじめているルフィの先端を指の腹で一度だけ撫でると、ルフィの腰が跳ねる。全身に力が入ってぶるぶると震えるルフィの姿に、サンジはごくりと生唾を飲み込んだ。今までこんなに艶っぽいルフィを見たことがなかたことに今更ながら気づく。
「ルフィ…どうして欲しいか言ってみろよ?」
「あっも…もうっや…だぁ…」
 涙目でサンジにその先を望む。早く体の中に渦巻く感覚をどうにかして欲しい。この腕を解いて欲しい。サンジに抱きつかせて欲しい。いつもみたいに自分を抱いて欲しい。
「なあ…どうして欲しいんだ、ルフィ?」
 涙をぽろぽろと零すルフィをさらに攻めたてるサンジは、普段のやさしい彼ではなかった。今日はなぜかルフィをひどく扱ってしまって、言葉で自分を欲しがるまで攻めたてたい。己の欲望を制御できなくなってしまったようだ。
「あっ…もっ…もっと…や…てよぉサン…」
 全身を震わせながら腰を浮かせてサンジの掌に己の熱を押しつけるルフィを満足そうに見つめて、サンジはようやくルフィの望む刺激を与え始める。そっと掌に握ってゆっくりと動かす。
「ああっん…や…そ、じゃなっ…」
「違うのか?」
 意地悪く笑うとルフィの唇についばむようなキスを落として、ルフィの瞳を見つめる。サンジに見つめられてルフィはますます熱くなってしまう。そのかわいい反応にサンジは、ルフィのもうひとつの望みである両手を解放してやる。するとその腕は、すぐにサンジの首へ回されてくる。ルフィの加える力に身をまかせてルフィの腕に抱かれた。
「どうやって欲しい?」
「…な…なん…でっ?こ…んな事…んだよぉ」
 さっきよりも涙をボロボロと零して、サンジの首に抱きつくルフィをそっとやさしく抱きしめたサンジはいつもの彼に戻っていた。
 すっとルフィの腕から抜けるとルフィの涙をペロリと舐めてやる。
「ごめんな…やりすぎた」
「うっ…うっ…」
 繰り返しキスを落としながらサンジは、放ってあるままのルフィを今度は、しっかり握ってルフィの感じる場所を巧みに攻める。
「あっあっ…もっ…」
 今までずっと焦らされていたルフィは、ほんの少しの動きで簡単に達してしまう。絶頂を迎えて力の抜けたルフィの足を持ち上げて、一気に己を飲みこませたサンジは心地よく締めつけてくるルフィを抱きしめる。
「はっ…ああっん…ん!きゅ・・うに入れんな…よっ…馬鹿っ」
「オレも限界だったんだよ…後でまたゆっくりやってやっから、今だけ…な」
 ルフィの腰を抱えなおすと動き出す。性急に攻めたてられて、激しく体を揺すぶられる。ルフイはサンジに擦られて再び熱を取り戻していた。
「あっあっあっ…も・・とぉ…サ…ジぃ」
 もっと深い繋がりを求めてルフィはサンジの腰に足を絡ませる。ルフィが望むままを与えるサンジにも、最後が近づいていた。ルフィの前へ指を絡ませて、動きに合わせて扱う。
「やぁっ…いっ…んん…ああっ!」
 サンジの指によって2度目の絶頂を迎えたルフィは、己の中を掻きまわすサンジ自身を締めつける。その刺激にサンジも欲情を吐き出すのだった。




 2人はとりあえず服を身につけてソファに寝転んでいた。サンジは満面の笑みを称えながら、ルフィは真っ赤になって怒りの表情を浮かべている。
「だから、言ったろ?“言ってる”って」
「…うっさい!」
 ぷうっと頬を膨らませてサンジから視線をそらすと、居たたまれなくなったルフィは立ちあがった…が、すぐにその場に崩れてしまう。
「おいっどうしたんだよ?アレくらいでへばったのか?」
「なん…か、体熱…い?」
 顔が赤かったのは、照れていただけじゃなかった。よく見つめると肩も上下に動き、呼吸も荒い。サンジはそっとルフィの額に掌を当てた。熱い
「げっ!移しちまったみてぇだな…」
「馬鹿サンジぃ〜」
 そのままソファにごろりと仰向けに寝転ぶとルフィは、困った表情になったサンジを見つめて笑った。
「今度はサンジが看病してくれよな」
「ああ、そうだな。上手い飯でも作ってやるよ…と言いてぇんだが、オレもまた熱上がっちまったみてぇ…」
 そう呟くとルフィの隣にばったりと仰向けに倒れこむサンジは、ソファから落ちてしまった毛布を取って自分たちに被せた。そしてルフィが擦り寄ってきた。
「ははっおそろいだな!」
 ルフィがそんな事を言うと、サンジの胸に頭をつけたまま瞳を閉じる。すぐに寝息を立て始めるルフィの髪に唇を落として、サンジも再び瞳を閉じ眠りに落ちていった。


翌朝
「あんたたちって、本当に“大”がつくほど馬鹿よね!まったくもうっ!」
「すみません、ナミさん。この埋め合わせは必ずしますので」
「あったり前でしょ!高くつくわよ」
 まだ熱の下がらないルフィとサンジをナミが怒鳴りつける姿があった。


Fin