prologue


 広く長い道をゆっくりと歩く二人の冒険者がいた。
 前を歩くのは、スラリとした体つきに魔法を扱う者が好んで着る服装で
やや短めの杖を持っている端整な顔立ちをした青年。
明るい色の髪に髪と同じ色の瞳は涼しそうな表情を見せている。
口元には知的な笑みが浮かんでいた。

 そして、数歩後をドスドスと地響きがするかのように踏みしめて歩くのは、
黒に近い髪と深い茶の瞳を持つ精悍な男だった。
ほとんど半裸のような服を身につけ、見事な肉体を惜しげもなく晒し、
見ただけで格闘技に長けた人物だとわかる。

 大男が前を歩く魔法使い風の青年に怒りを含んだ口調で問いかけた。
「お前は良心が痛まないのか?」
 その言葉に魔法使い風の青年は立ち止まり、
くるりと振り返った。その表情は清々しい程の笑顔。
「何を言ってるんですか、ライムント。
 君が好きで私と一緒に故郷を出てきたんでしょ?」
 ライムントと呼ばれた大男は、
青年の笑顔と言葉に拳を握りしめて肩を震わせて大声を上げた。
「てめぇが俺を騙して連れ出したんだろうが!
 何が”困っている人達を助けに行きましょう”だ!」
「それは本当の事だと思いますけどね。
 後ろ暗いことなんかないですよ?」

 さらりと言うと額にかかった長い髪を指で弾いた。
「風が強くなってきましたね。早く次の街へ行きましょう。
 良い人材を安く雇えるといいですね」
 怒りに震えるライムントをその場に残し、再び歩を先に進める。
その後から大きな足音が追ってきた事を確認して、歩調を少し早めた。

「お前の目的は”名声”と”金”じゃねーか!くそディルク!!」
 ライムントの言葉にディルクと呼ばれた青年はクスリと笑っただけで、
ようやく見えはじめた街へ視線を飛ばしていた。

end
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