新しい恋(2008年7月) 水天宮拓仄


一年に一度だけ訪れるその場所には美しい花が一輪。

不思議な事にその花は決して枯れる事はない。

人は言う。

<その花には美しい精霊が宿っているのさ>

男はまた今年も美しく咲く花のもとへやってきた。

「美しい」

感嘆の声を漏らすと真っ赤な花びらが優しく揺れる。

一年毎にますます輝きを増していく美しさ。

男は嘆いた。なぜ一年に一度しか逢えないのかと。

毎日逢う事が叶えば日々美しくなっていく君に逢える。

「美しい君と毎日語り合えたらどんなに良いだろう」

呟くと花がみるみる枯れていき、花のように美しい女が現れる。

二人は新しい恋を育むために手と手を取り合った。