永遠の悲しみ(2009年2月) 水天宮拓仄

”永遠の命を持つ存在”

人は彼を羨望の眼差しで見つめ、まるで神を崇めるかのように接した。

彼の表情はいつも穏やかだが、感情を人々に見せる事は無い。

誰もいなくなった部屋、独りで虚空を見つめる。

「・・・還りたい」

小さく誰に伝える事もなく呟くと美しい瞳からは涙が一筋流れ落ちた。

真っ白な大理石の上に雫が落ちたが、それはすぐに球体をなす。

床に落ちた球体を見つめ、彼は力なくその場にうずくまり、膝を抱えた。

「僕は・・・早く大地に還りたい」

愛する者もなく、生きる意味も持つ事もできないまま続く永遠の刻。

人は彼を”幸福な者”と称した。