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あなたは幸福です(2009年3月) 水天宮拓仄
ーあなたは幸福ですか?ー
街を歩いていたら突然こんなフレーズで話かけてくる人物が現れた。
キョロキョロと周囲を見回しても、自分以外に向けているとは思われない。
どうやら、自分に声をかけたのは間違いないらしい。
新手の宗教勧誘かと思って無視して足を前に踏み出したが、すれ違い様に袖を引かれた。
「おいっ」
声を荒げて振り返ると袖を持ったまま可愛い女の子がもう一度同じ台詞を口にした。
「あなたは幸福ですか?」
「宗教の勧誘ならお断りだよ」
「違います」
頭を左右に振りながら笑顔を向けてくる。
「じゃ、なに?」
「あなたは幸福ですね」
「だから、なにが?」
「私があなたの前に来たからです」
「はぁ?」
理解不可能な言葉を並び立てる女の子に首を傾げた。
「私はあなに幸福を運ぶためにやってきました」
「・・・頭大丈夫?俺、急いでるからもう行くよ」
踵を返して歩き出して、数歩進んでふと振り向くと女の子はいなくなっていた。
「なんだったんだ、あの子。あんなに可愛いのに頭おかしいよな、もったいない」
幸福ってなんだろう?女の子の姿が消えた後、考えてみたがすぐにどうでもよくなった。
普通に仕事をして、給料をもらって、家族も健康、友達も多い、俺は至って普通の人間。
これからも何も変わらず普通に歳をとって、普通に人生を送っていくだけ。
これって幸福なのかな?
ーあなたは幸福ですー
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