企画用短編3(テーマ:剣)



ー我、目覚めさせた者に力を与えんー

 永遠に続くかと思われた眠りが、突然途切れた。
 自我を感じたのは、どのくらい前だったのか自分ではわからない。
 だが、自分には時間の経過など興味なければ意味もなかった。
 周囲に意識を集中させ、ゆっくりと己の感覚を広げていく。
 そして、感じた。
 自分を手にした者の命と力を。

『名を述べよ・・・我を目覚めさせた者よ』

 剣を手に入れた男は、突如頭の中に直接響く声に驚き、手にしていた剣を地に落とした。

ーガランッー

『丁重に扱え。刃こぼれなどさせたら、我がお主の生命を断つ』

「な・・・・な?」
 
 地に落ちた剣を見つめ、周囲を見まわす男は耳を塞いでは頭を激しく振りつづける。

『何をしている。早く拾え』

「こ・・・この剣の声?」

 恐る恐る男は足元に落とした剣を拾い上げ、マジマジと剣を観察した。
 どこにも怪しい点はない。
 だが、周囲に人がいないことも明らかだった。

「お前が僕に話かけてきたのか?」

 鞘をさすりながら男は剣に語りかけた。

『我はティルムンク。目覚めさせた者に力を与えん・・・・さあ、名を名乗れ』

 伝説で語られる剣・ティルムンク

 手にする者に力を与え、善にも悪にもなりうる力。
 ティルムンクを手にした者へただ純粋な力を与えると言われる。



 この時、ティルムンクを手にした男は後世に必ず名を残すはずである。
 英雄として語られるのか奸雄として語られるのかは、まだ誰も知らない。












end