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企画用短編4(テーマ:剣/コラボ.ver)
イラスト cris会員:ヒナタ ウタ様

自分の身よりも大きな剣を抱き、少女は泣いていた。
「エルン愛してるわ」
エルンとは彼女の恋人である。
今より数千年を遡る。
世は、人間・妖精・精霊・鬼・神など、
現世では空想の産物として語り継がれている存在が、
自由に人間と交わる事のできる時代であった。
ロゼという名の少女が、緑豊かな土地で暮らしていた。
「ロゼ、なぜ私と一緒になってくれないのだ。こんなに愛しているのに」
彼女の暮らす小さな家の中から、若い男の悲痛な声が聞こえる。
「私は誰とも一緒になれないの・・・私もあなたを愛しているわ。
それだけでは、いけないのかしら?」
「愛し合っている者同士が結ばれるのは、自然の理だろう?」
若い男の名はエルン。
この林に繋がる国々では、その名を知らぬ者はいないほどの勇者だった。
身の丈ほどもある大きな剣を武器に、人間に害を及ぼすモノ達を
数え切れないほど退治してきた。
その中には、鬼や神と呼ばれるモノもいたという。
「でも、私はこの林を見守る役目があるの・・・それは抗えないもの」
「そんなもの!誰が君に命じたんだ?神だとでも言うのか?」
エルンの言葉にロゼは悲しく微笑んだ。
「そうなのか?神が君に命じたのか?」
「ええ」
コクリと頷き、エルンを見つめるロゼの瞳には強い力が宿っているのがわかる。
「なぜ君がこのような役目を負う必要がある?林は平和そのものだ!
君が見守る必要はない!神も許してくださるだろう」
「私が見守っているから林は平和なのよ。
もう、見守り続けてどのくらいになるのかわからないけれど・・・」
ふと遠い目を窓の外に広がる林に向けて、そっと瞳を閉じた。
「・・・君にこの役目を負わせた神は誰だ?」
「ダラヴィエ神・・・この世界すべての緑を司っている方。
私はダラヴィエ神様の使い。人と交わってはいけない身、だから・・・」
そう言って涙を流すロゼを残し、エルンは扉から飛び出していった。
それから数日後。
ロゼの元に見覚えのある大きな剣がダラヴィエ神によって届けられた。
「これは・・・エルンの?」
刀身に巻かれた白い布は、エルンが身につけていたマントの切れ端。
抱き締めるように受け止めたロゼは、目の前に立つ主を見上げた。
「ロゼ・・・君は罪を犯した」
「はい」
小さく頷きダラヴィエ神へ向かって一歩ずつ足を進める。
「この男を愛しているのだな?」
「はい、とても・・・私は、彼と共に生き続けます」
「ならば、ここより去るしかあるまい。
それが何を意味するか覚悟はできているのかね?」
林の守役が消えるという事は、林の消滅を意味する。
ダラヴィエ神の言葉に一瞬息をのむが、ロゼの決意は変わらなかった。
「申し訳ありません」
剣を抱き締めたままロゼは、ダラヴィエ神の前にひざまずく。
「これよりお前達を現世の狭間に導こう。
そこで永遠に彼と静かに過ごすが良い」
ひざまずくロゼの頭上にダラヴィエ神が手をかざすと、
静かに風のように彼女の姿は剣と共に消えた。
現世の狭間では、今も1人の少女が剣を抱きながら泣き続けている。
end |
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