◆宝物

モリータさん@ HP

<<水の精霊と戯れるエルフ>>



「暑い…」
水に浸かり、キセルを噴かす。
持っていたタオルも水につけてしまった。



パシャッ!
「!?」




突然、水の精霊が飛び出す。

「シルクー! エルフのお姫様がそんな格好で水遊び?
ねぇ、あっちに見せたい物があるの!」

騒がしい水の精霊ウェンディは、
こうしてシルクの姿を見つけると何かとまとわりつく。

一人の静寂な時間を好むシルクにとっては招かざる客だ。



「また来たのかウェンディ……帰れ」
「えー! 遊んでくれないと『シルクがはしたない格好でだらけてる』
って、お父様に言いつけるよー?」

「今度は脅迫か……勝手にしてくれ」
「ねぇねぇってばー!!」

「お前は少し人の話を聞け…」

暑さもあってか、投げやりに答えるシルクだが、
ウェンディは一向にお構いなしだ。




「早く行こうよー! こんなの吸ってないでさ!」
「お、おい! 私のキセルをとるな!」
「あっちあっち!」
(水の精霊ならこの暑さを何とかしろと言いたいんだが…)

溜息をつき、立ち上がると、シルクは滴る水も気にせずウェンディについて行った。
何しろ大事なキセルが人質に取られてしまったのだから。




「昨今の精霊の教育はどうなっているのだ……」
エルフの姫である自分のことは棚に上げ、
恨みがましく呟くシルクだったが、

「シルクー!おーそーいぃー!」
(勘弁してくれ……)

なんだかんだでウェンディに付き合ってやる優しい姫であった。